冬の夜空に大輪の華「長野えびす講煙火大会」 防寒対策も万全
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冬の花火大会として全国に知られる「長野えびす講煙火大会」が23日長野市であり、県内外からの多数の観客が夜空に開く「大輪の華」に歓声を上げました。1899(明治32)年以来、今年で111回目の伝統の花火大会。1万発余の力作花火が打ち上げられました。
音楽とのコラボや八号玉など100連発も
長野商工会議所、長野商店会連合会の主催で長野市内の犀川(さいがわ)の緑地で開催。例年、県内外から40万人の観客が集まります。この日も午後6時の打ち上げ開始前には、有料の観覧席から犀川沿いの堤防の上まで地元の市民や県外から大型バスで乗り込んだ花火ファンでいっぱい。前日の暖かさと打って変わった冷え込みに、温かい食べ物を売る露店に行列ができました。「えびす講はいつも寒いからね」と観客も防寒に抜かりはありません。
地響きとともに「ドーン」と打ち上がった花火に、「わあ、きれい」「大きいな」と歓声が上がり、大型の花火には拍手も。花火と音楽のコラボレーションと銘打った「ミュージックスターマイン」や八号玉などの100連発、尺玉の豪快な大輪など趣向を凝らした展開に見物客は大喜び。 長野を含む全国各地の煙火店が独創性と技術を競う「全国十号玉新作花火コンテスト」も同時開催。「開き具合や形、色、光の消え際など総合的に競い合うレベルの高いコンテスト」(主催者)にファンも満足そうでした。 市内各地からも花火が見えるため、高い位置にあるJR長野駅のコンコース出口には旅行客らが大勢立ち止まって「花火だ」としばし見物。最近市内に増えている高層マンションの住民の間では、煙火大会に合わせて友人や遠くの家族を招き、暖房の効いた室内からゆっくり花火を楽しむぜいたくもちょっとしたブームになりつつあります。
西宮神社の例大祭を祝う催しとして続く
この花火大会は善光寺に近い岩石町(がんぜきちょう)の西宮神社の例大祭「えびす講祭」(18~20日)を祝うイベントとして熊手などの縁起物の露店、大売り出しとともに長年行われてきました。 主催者によると古くは江戸時代に遊女屋が客を誘うために現在の中心市街地・権堂町で盛んに花火を打ち上げたと伝えられています。明治時代に街の有志がえびす講の景気づけに花火大会を始め、現在に至っています。 1916(大正5)年には二尺玉を打ち上げて世間を驚かせ、1928(昭和3)年には二尺玉7発、尺の早打ち10発などを試み、大玉の早打ちの先駆けとなりました。「大正時代には参加者が厳選されたため、全国の煙火師にとって長野のこの大会への参加は、出世煙火とまで言われた」(主催者)。 その後、打ち上げ数を1万発まで増やしたりミュージックスターマイン、八号玉110連発など新しい試みも加え、「長野の冬の花火」として一層広く知られることになりました。
----------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説