“北海道あるある”満載!最果ての地・稚内に就職した、横浜育ちの若者がつづる「移住体験コミック」の魅力【作者に聞く】
川崎生まれ横浜育ちの作者が、就職をきっかけに北海道の最北端・稚内市に移住。そこで目にした日常生活やローカルライフの魅力とは…。発売中の電子書籍「しろまる最北日記 横浜から稚内へ就職したとある会社員の、愛すべき最果て移住生活」は、WEBニュースサイト・ウォーカープラスで連載され反響を呼んだ“移住体験コミック”だ。 【漫画の一部を読む】シカと車が衝突、ゴキブリは見かけない…北海道・稚内の暮らしとは 作品の中では、作者が白丸あすか(@Asuka_Shiromaru)という架空のキャラクターとなり、現地での体験を漫画にして共感や笑いを誘っている。移住のきっかけや、漫画に込める想いなどを聞いてみた。 ■本州とは異なる北海道の日常 すでに100を超える漫画を配信しているが、いずれも北海道ならではの地元感あふれるものばかり。まずは、運転中にシカと衝突したエピソードを挙げてみよう。 漫画の中では「奴」と呼ばれるエゾシカ。奈良など本州の鹿と比べ一回り以上も大きい、迫力ある野生動物として描かれる。ある日、作者が運転中のこと、シカが突然道路に飛び出してきた…。 「衝突時は一瞬だったので、どうしようもありませんでした。あれは避けられません…。運が悪かったと割り切っています」。物損事故扱いで減点はないが、シカとの衝突は保険の補償内容に入っておらず、初めてのボーナスが修理代に消えた。 ほかにも、ゴキブリをほとんど見かけないという北海道の動物事情や、チャーメン、海産物といったご当地のグルメ、本州とは異なる「夏」や「冬」の生活についても描かれている。 ■職種ではなく場所優先で就職活動。結局稚内へ 作者は都内の大学を卒業したあと、新卒で稚内へ就職した。「大学時代の夏休みに毎年知床で住み込みのアルバイトをしていて、北海道の郊外への移住に憧れを抱いたのがきっかけ。『北海道』『札幌近郊以外』という条件で(職種ではなく)場所重視の就職活動をした結果、稚内の会社から内定をいただき移住しました」 この漫画を始めたきっかけは「大学でアニメの聖地巡礼に起因する観光(コンテンツツーリズム)を研究していて、サブカルチャーを活用した地域の情報発信に興味があったからです」とか。 首都圏で生まれ育った作者にとって、“北の果て”稚内での暮らしは驚きの連続。ケタ違いの広大さに距離感が狂ったり、都会とは全く異なるローカル線事情を目の当たりにしたり…。 横浜からの移住で冬の寒さは堪えたのでは?と聞くと「自分の中で勝手にハードルを上げていたこともあり、意外と苦労していません(かなり個人的な意見ですが)。稚内は内陸に比べると積雪量が少ないですし、狭い賃貸を選んで住んでいるので暖房の効きがよく、暖かいです」 困ったこととしては、ネタにすると反響があるという北海道独特の"距離感”。「横浜の実家へ帰るときに『道北地方』を脱出するのに時間を要するのがつらいです。羽田への直行便がありますが、時間の都合が悪いのと、あまり飛行機を利用したがらない性格なので車を利用。物理的な距離の壁に常にぶち当たっています」 ちなみに稚内でおすすめのスポットを聞いてみると「観光客の多くが宗谷岬を訪れると思います。車で来ているならぜひ近くの宗谷丘陵を走ってほしいです。稚内市以外では道道106号(稚内~天塩)、村道エサヌカ線などのドライブコースもおすすめ。道北は車やバイクで走って、その広大なスケールを実感してほしいです。あとは最北のマックで最北ピエロの聖地巡礼をしていただけたら幸いです」。なお、最北ピエロとは、マクドナルドの日本最北店舗・40号稚内店にある、ベンチに座ったドナルドのオブジェのこと。 ■エッセイ漫画とタウン情報誌のハイブリッドを目指す 最後に作者よりメッセージを。「最北日記は地理ネタの中に北海道あるあるやクスッと笑える日常体験を取り入れ、『エッセイ漫画とタウン情報誌のハイブリッド』のような存在を目指しています。限られた誌面に詰め込める内容には限界がありますが、この作品が少しでも北海道での生活に興味をもつきっかけとなっていただけたら幸いです」 取材・文=折笠隆