重視する数字がコロコロ変わり…24時間テレビ直前に方針転換を決めた日テレの「ドタバタぶり」
7月中旬、日本テレビの会議室には各番組のスタッフが集められ、チーフプロデューサーらが「新方針」を説明したという。それは、「視聴率の指標がまた変更される」という内容だったーー。 【やす子の神対応】すごい!ファンからのサインに応じるやす子の表情が苦しそう...... 「どうやら、個人視聴率を重視した番組作りに変更するように言われたようなんです」 そう語るのは制作会社ディレクターだ。ちなみに「個人視聴率」とは、世帯内の4歳以上の家族の中で誰がどれくらいテレビを視聴したかを示す割合だが、「コア視聴率」は、13歳から49歳の男女に絞った層の視聴率を表す。 「日本テレビといえば、コアターゲット(13歳~49歳の男女)を重視した『コア視聴率』という指標を他局に先駆けて作り、個人視聴率とコア視聴率をバランスよく分析して番組作りをすることで知られています。ただこの数ヵ月、個人視聴率よりもコア視聴率をアップさせることを厳命していたのです。 あまりに今年に入ってからの視聴率がどの番組でも振るわず、そのため一度、コアターゲット重視に大きく舵を切ってみようということだったようです。スタッフはそれに向けて頑張っていたのに、短期間で今度は個人視聴率重視の番組作りに変更するようにと異例の指示が出されたのです。社員も出入り業者も混乱しています」(前出・ディレクター) ただ、早朝から深夜までの全ての番組が「コアの数字を獲る」という目標にそもそも無理があったという。それは、早朝と昼間、夜のGP帯などではそれぞれ見ている人の年齢や志向が異なっているからだ。たとえば、朝の『ZIP!』や昼の『ヒルナンデス』などはともかく、人気芸人総出演の『有吉の壁』や『ザ!鉄腕!DASH!!』のように、M(男性)層に強い番組の内容をコア層の好みに寄せるというのは、あまりにナンセンスかもしれない。 「放送作家を含めて男性だらけの会議の席では『企画がブレる』と大不評でしたね。もともと『女性目線』とか『主婦層が』とか言われ出すと、バラエティ番組は大暴れできなくなる。私が担当している番組は、『コアターゲット』を狙い始めてから数字が下がりました。いま、視聴率で日テレのライバルはテレ朝ですが、50歳以上の3層も65歳以上の4層もないがしろにしていない個人視聴率重視で、テレ朝の視聴率は番組ごとに安定しています。 それを見て、日テレの上層部や編成は大慌てで指針を変更したんだと思います。我々のようなバラエティ班は、個人視聴率重視に戻って安心しているところです。実はその個人視聴率目標も、このタイミングで現実的な数字に下げられたのです」(バラエティ番組ディレクター) 日本テレビといえば、系列の日本海テレビジョンの元幹部社員が『24時間テレビ』の寄付金などを着服したことが大きなニュースとなり、先日も改めて水卜麻美アナウンサーが代表して謝罪をしたばかりだ。 「今年も8月31日~9月1日にかけて放送があり、問題となったチャリティーについては『続けることでしか信頼を回復することはできない』と公式サイトで説明されました。番組タイトルも『愛は地球を救う』から『愛は地球を救うのか?』に変更され、長年、旧ジャニーズ事務所のタレントが務めてきたメインパーソナリティーを廃止にしています。 総合司会に上田晋也さんが加わり、やす子さんがマラソンランナーに選ばれましたが、相変わらず『上田さんややす子が気の毒だ』『番組自体もう終わりにすればいいのに』といった苦情が日テレに届いているそうです」(放送作家) さらに追い打ちをかけたのが、フジテレビの『FNS27時間テレビ 日本一たのしい学園祭!』の大成功だったという。7月20日~21日にかけて放送され、『新しいカギ』のメンバー、霜降り明星、チョコレートプラネット、ハナコらをメインに、平均世帯視聴率9.7%、個人視聴率6.9%、コア視聴率7.4%と、人気バラエティやドラマを放送していた他局を圧倒。フジテレビとしても今年最高の視聴率を叩き出したのである。 「視聴率はもちろんですが、日テレが排除しつつあるSTARTO社のタレントが多数出演していたことで、『やっぱり彼らには数字があるのか』という声が局内で上がっているのです。もともとSTARTO社所属のタレントがレギュラーを務めている番組をかき集めて27時間に仕上げたので仕方がないのですが、『24時間テレビ』のほうは、STARTO社のタレント抜きで既に企画を走らせていますから、幹部はいまさらながら慌てていますね」(前出・放送作家) フジテレビの巻き返しと『24時間テレビ』への不安で、ようやく火がついた日本テレビだが、打開策が見えた感じはしない。「愛は地球を救うのか?」は日テレを本当に救えるのだろうか……。
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