熊本の間伐材が大阪万博の制服に 医療スタッフ用、「木糸」で生地 天草市のサーキュライフなど
開幕まで1年を切った2025年大阪・関西万博の医療スタッフの制服に、天草産のヒノキや小国杉などの間伐材で製作した衣服が採用された。天草市の木糸卸売業「サーキュライフ」を含む熊本県内外4社でつくる木の糸コンソーシアム(共同事業体)が連携。「木糸[もくいと]」と呼ばれる天然繊維で仕立てた生地が使われている。 採用されたのは、傷病者の手当てなどを行う医療スタッフが着用するコート、上衣、ズボン。間伐材を和紙のような布にした後、裁断してよった「木糸」を、綿と織り込んで生地に仕立てた。染色はせず、間伐材の自然の色を生かした。 サーキュライフの川原剛代表(47)は、製造、使用、廃棄時に環境への負荷がかかる化学繊維の問題解決を目指し、3年前に天然繊維と化学繊維のすみ分けを提案する同社を設立。「木糸」で作られる天然繊維は、製造時に化学的な処理を必要とせず、廃棄しても分解されるなど環境に優しいという。
大阪・関西万博は、持続可能な未来や、多様性を認める社会の構築などを理念とし、「いのち輝く未来社会のデザイン」の実現を掲げる。天然繊維の衣服は万博の理念とも合致し、川原代表は「より多くの人に知ってもらったり、使ってもらえたりするきっかけになれば」と喜んだ。 万博の全ての制服は、大阪府出身のデザイナー・コシノジュンコさんが監修している。(鬼束実里)