桂川有人は飛距離を武器に欧州参戦中! ドライバーの精度が2年連続国内ナンバーワンの理由とは?【佐藤信人アイズ】
ツアー解説でおなじみの佐藤信人プロ。今回は5月の欧州・日本ツアー共催の「ISPS HANDA欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」で優勝して、欧州ツアーに参戦した桂川有人について語ってもらった。 飛ばし屋桂川有人の最新クラブセッティング
飛距離という武器が加わった桂川
昨年はPGAの下部ツアー、コーンフェリーツアーにQスクールから挑戦した桂川有人くん。16試合に出場し予選通過はわずか7試合と、期待の大きさからすると初挑戦は厳しい結果に終わりました。 今年は日本に戻り、体とスウィングをイチから作り直し、海外に再挑戦する準備と位置付けていたようです。ところが5月の欧州・日本ツアー共催の「ISPS HANDA欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」で優勝。欧州ツアーの出場権を得て、再び海外へと旅立ちました。 昨年は推薦で出場したハワイでのソニーオープンを皮切りに、中南米からニュージーランド、秋には日本からオーストラリア、アメリカと、世界中を飛び回る1年でした。結果を出せなかったのは、そうしたタイトなスケジュールが影響したのかも。 ただ、スタッツを見るとフェアウェイキープ率は1位ですが、ドライビングディスタンス(DD)が289.9ヤードで139位。昨年、コーンフェリーで2勝しPGAに昇格したチャン・キムと東建カップで話したのですが、「飛ばしてナンボ。飛距離がすべて」が彼のコーンフェリー評。 少し大げさな表現でしょうが、ラフなどがそう厳しくはないセッティングでは飛距離がそれだけ有利に働くということでしょう。どうやら桂川くんも、その飛距離に苦しんだようです。 ところが、国内ツアー開幕戦の東建では4日間を通じたDDで、1位の幡地隆寛(303.09ヤード)に次いで、桂川くんが302.96ヤードで2位だったのです。ちなみに一昨年の日本ツアーでの彼のDDは28位。それが今年は10位(7月8日現在)。 通常、飛距離を求めるとその代償で、フェアウェイキープ率が落ちるものですが、こちらは7位から12位とさほど落ちてはいない。もうひとつ付け加えれば、トータルドライビングは一昨年も今年も1位。正確性の高さがストロングポイントの桂川くんに、飛距離という武器も加わりました。 昨年秋からは初めてコーチを付けました。大学の先輩でもある目澤秀憲くんです。同時に新たなフィジカルトレーニングを取り入れ、飛距離アップに取り組んだそう。その結果が早くも表れているというわけです。 もともとアメリカ志向の強い桂川くんだけに、再びコーンフェリーからPGAに……、という思いだったのでしょう。 しかし、日本人としては6人目の欧州ツアー優勝で、いわゆる“久常ルート”でのPGAへの道を切り開く可能性があります。 中学卒業後、ゴルフ留学した先はフィリピン。風が強く、下が硬い環境は欧州に通じるものだし、それが低いボールで転がす桂川くんの技術にもつながっています。フィリピン時代のゴルフ仲間のトム・キムのPGAでの活躍も刺激になっているでしょう。 ミズノオープンでは3位に入り全英オープンの出場権も獲得。欧州ツアーで十分通用する技術で、彼の”癒やし体質”は、欧州でも誰からも可愛がられる要素になるはず。 川村昌弘、中島啓太、星野陸也という日本人選手が多いことも心強い。久常に続く2年連続日本人のルーキー・オブ・ザ・イヤー候補がまた一人増えた気がします。 ※週刊ゴルフダイジェスト2024年7月30日号「さとうの目」より
週刊ゴルフダイジェスト