存続危機のローカル線、沿線自治体が鉄道会社の株式取得の動き…岡山県真庭市は1億円計上
ローカル線を巡って、利用者低迷や災害などを機に鉄路のあり方を見直す議論が各地で起きている。そうした中、岡山県真庭市は、JR姫新線の存続に向けて発言力を高めるため、JR西日本の株式を購入することを決めた。株主として鉄道の維持を目指す動きで、注目を集めている。 【写真】「津山まなびの鉄道館」として公開されている旧津山扇形機関車庫。津山駅(姫新線)に隣接し、1930年に設置された転車台は現在も稼働している
真庭市は今年度予算に1億円を計上し購入の準備を進めている。太田昇市長が株主総会に参加するなどして意見を述べていく考えだ。
JR西は、2004年に政府保有株が全て売却され完全民営化された。株式の時価総額は28日時点で約1兆4600億円。外資の株式購入も進み、今年3月末時点で「外国法人等」の保有比率は約33%に上る。多くの株主は利益を重視するため、経営陣は経営効率化を迫られる。
これに対し、元佐賀市長で福岡大の木下敏之教授(地方創生)は「経済合理性だけで判断すれば地方の鉄道は次々に廃止となり、新幹線と都市部だけになってしまう」と指摘し、自治体がJRの株式を購入し、鉄道の存続を目指すことに賛意を示す。
九州でも鉄道の将来像は大きな課題だ。JR九州は昨年、日田彦山線の一部をBRT(バス高速輸送システム)に転換。不通となっている肥薩線の一部区間については今年4月、自治体が施設を保有・管理する「上下分離方式」への移行を熊本県などと基本合意した。同社の株式を巡っても、宮崎県の日南市と串間市が購入している。