「政治とカネ」の野党追及にも岸田総理が平然としている「心の内」
岸田総理の心中は、「俺はやることを全部やっている。有権者にもいつかわかってもらえる」
飯田)一応、国会審議がスタートしましたが、報じられるのはやはり「政治とカネ」の話です。今朝(2月14日)の新聞でも、「政治倫理審査会を開け」というような野党の要求が1面を飾っています。岸田政権はどうするのでしょうか? 吉崎)でも、ご本人の様子を見ていても、わりと吹っ切れている感じですよね。おそらく岸田さん本人の立場だと「俺はやることを全部やっている」という感じなのではないでしょうか。岸田政権になって2年余りですが、防衛3文書や防衛費増額、あるいは福島第一原発処理水の海洋放出など、やるべきことはやっている。それも、どちらかと言うと安倍さんが手掛けて、ご本人ができなかったことを次々にやっている。そして、岸田さんにとって大きな思い入れがあるのは、デフレ完全脱却宣言です。 飯田)デフレ完全脱却宣言。 吉崎)日本銀行の金融政策正常化が、おそらく4月ぐらいにあります。その上で政府が「デフレ完全脱却宣言」を出し、6月解散ができれば、「どうだ、俺は安倍さんが手掛けて、実行できなかったことを全部やっているだろう」と言える。支持率は低くても、「いつかわかってもらえる」という感覚があるのだと思います。 飯田)特に外交・安全保障に関しては、相当やっているような感じはあります。 吉崎)さらに一言を加えると、「俺が苦しんでいる問題は、ほとんど安倍派がつくった話だろう」と。裏金もそうだし、旧統一教会もそうです。安倍さんに恩義はあるけれど、結構やり残しもあるし、迷惑も受けている。全然恥じるところはない、とご自身は考えているかも知れません。
次期総裁選では「とりあえず女性党首で1回ごまかそう」という側面も
飯田)その辺りの評価が下るのが、4月28日の3補選だと言われています。 吉崎)2月4日には京都市長選挙と前橋市長選挙がありました。京都は与党候補がギリギリ勝ち、前橋は現職が負けました。あれを見ると、やはり4月28日もそれなりでしょうし、その結果を見れば「解散なんて何を言っているのだ。やめてください岸田さん」ということになると思います。 飯田)解散を打てないまま9月の総裁選が迫ると、「この人では戦えない」という話になる可能性もあります。 吉崎)7月を過ぎると、次の参議院選挙まで1年を切るので、今年(2024年)の夏ぐらいから皆さんリーチが掛かり、額に汗が浮かんできます。そうすると9月の総裁選は「フレッシュスタートで、ガチンコ・フルスペックでやりましょう」という感じになる気がします。 飯田)そのときに誰が出てくるのか。取り沙汰されているのは上川さんや高市さんなど、女性の名前が出ています。 吉崎)ここはチャンスですよね。自民党的には、こういうときこそ「とりあえず女性党首で1回ごまかそう」というところがあります。
新たな総裁が空気を一変する可能性も
飯田)フルスペックの総裁選なら各地を遊説して回るから、積極的に報道される。 吉崎)実際に総裁選挙で雰囲気が変わることは過去に何度もありました。 飯田)岸田さんが出てきたときもそうでしたね。 吉崎)岸田さんも、その前までは何となく「はっきりしない人」という感じでしたが、二階幹事長の首を切ったころから「すごいではないか」と空気が変わりました。だから別の人が出てきて、また空気を変えてくれるかも知れません。