被団協のノーベル平和賞受賞を機に高齢化進む「被爆2世・3世の援護」を岡山でも訴える【急上昇ニュース】
急上昇ニュースのコーナーです。広島と長崎に原子爆弾が投下されて2025年に80年となるのを前に、今も続く被爆者の問題をお伝えします。担当は生本記者です。 (生本ひなの記者) 「今年(2024年)のノーベル平和賞には被爆者の立場から核兵器の廃絶などを訴えてきた「日本原水爆被害者団体協議会」、被団協が受賞しました。日本から平和賞受賞は、核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則を制定した佐藤栄作元総理大臣以来50年ぶり2例目です。 広島と長崎に原子爆弾が投下されたのは、第二次世界大戦末期の1945年8月でした。広島では約14万人、長崎では約7万人が犠牲となり、放射線などの被害を受けた被爆者は約10万6800人に上ります。 被団協は2024年で結成68年です。長年、原爆による被害について世界に訴え続けた被爆者一人一人の活動が評価されました。ロシアのウクライナ侵攻では、ロシアが核兵器の使用をちからつかせるなど、核兵器の脅威が世界的な問題となっています。 そうした中、被団協の受賞は大きなメッセージとなります。一方、国内では、被爆者の問題に光が当たりきっていない現実があります。それは被爆に関連した支援の問題です。岡山でも12月17日、新たな動きがありました」 17日、被爆者の子供や孫らで作る「岡山被爆2世・3世の会」の会員らが岡山県庁を訪れました。 (岡山被爆2世・3世の会 世話人代表 加百智津子さん) 「私の母は広島で原爆ドームから800メートルほどの場所で被爆した。これは母が被爆したときに着ていたブラウス、白くなっているのが焼けただれたところで赤黒いシミが血やうみの痕、そんな話を子供の頃からずっと聞いてきたし、こんなものを残されると母の「こんなことが二度とあってはいかん」という思いを引き継いでいかなければと思う」 そして、自分たち2世にも被爆の影響が疑われる健康被害が出てきているとして、岡山県に対し被爆2世や3世の「援護」を求める申し入れを行いました。要望では、子や孫にも被爆者の親と同じように医療費の補助を自治体独自で導入することや、「被爆者援護法」を適用するよう国に働きかけることなどを求めています。要望を県に提出するのは4回目ですが、県は「国において判断されるもの」という回答を続けています。 (加百智津子さん) 「体調が悪かったり子供の調子が悪かったりすると、これは原爆の影響ではないかと。病気自体も心配だがそういう不安に駆られることが被爆者や被爆2世にとっての問題、不安材料になる。国ではなく県としての裁量でできることもあるのではないか。少しずつでも前進があれば」 (生本ひなの記者) 「また、11月、岡山市に住む83歳の女性が、原爆投下後に降った放射性物質を含む「黒い雨」を浴びて健康被害をうけたとして被爆者健康手帳を交付するよう岡山県に対し訴えを起こしました。 「黒い雨」を巡っては、国によって被害を認める範囲が厳格に決められていて、「援護」の対象が線引きされています。 ・・・線引きをすると制度として運用しやすくなるかもしれませんが、対象者の「分断」の問題が懸念されますね。 ・・・さらに被爆者の高齢化によって声が届きにくくなりそうですよね。 (生本ひなの記者) 「岡山県在住の被爆者は、2024年3月末時点で884人、香川は175人、全国の平均年齢は85歳を超えています。被爆が認められず亡くなった人も多く、子や孫へと世代が移ることで問題がどんどん薄れていくことも懸念されます。被爆から80年を前に、世界的な核兵器の問題と身近な被爆者の問題について、若い世代を含めて社会全体で考える時がきています」
岡山放送