ポルシェでもフェラーリでもない! 3000万円の「日産GT-R」を買うということ
「NISMO 400R」は2億円超
最高峰の「NISMO」とはいえ“「GT-R」が3000万円超えかよ!”と驚いた人は多かったはず。もちろん、私も含めて。けれどもそんなことはやっぱりお構いなしに案の定というかMY24へのオーダーは殺到した。 【写真】最上級グレードが3000万円以上になった「日産GT-R」をもっと詳しく見る(6枚) もちろんその背景には投機的な動きも見え隠れしている。MY22のNISMOが出たときには業者オークションで5000万円を超え、今でもほとんど未使用の個体であれば6000万円、つまり倍の値段で市場に出回っているというのだから、むべなるかな。中古のNISMOを探そうとネットで検索してみれば2019年式でもなんと3000万円弱。最新にしてひょっとしたら最後の新車が3000万円なら“安い”と思ってしまう人がいて当然だろう。 そのうえ“日産のGT-R”に対する世界的な興味の高まりがある。なんといってもBNR34「スカイラインGT-R」の人気がすさまじく、最終モデルの「Vスペック・ニュル」のローマイレージともなればNISMOと同じ6000万円前後という相場感だ(ほとんどインバウンド相場だが)。しかも“NISMO”というブランドの人気も高まっていて、例えばBNR34の「NISMO Zチューン」は億超え確実、BCNR33ベースの「NISMO 400R」に至っては2億を軽々と超えていく。最新で最後の“GT-R&NISMO”のいわば人気ブランドのWネームが新車で3000万円と聞いて、安く思う富裕層(=絶対損をしない人たち)がいたとしても不思議じゃない。
誰だって安く買って高く売りたい
結局のところ、コロナ禍でいっそう広がった富の偏在がこの手の投機的要素を強めているというわけで、そんな値段でも欲しい人がいる(という市況にある)からこその値づけだといってしまえば、それはそれで理屈が通ってしまう。需要と供給がモノの値段を決めるというアレだ。クルマ好きが納得できるかどうかは別にして。 NISMOを2台ふつうに買えたタイミングで借金してでも買っておけばタダで1台持っておけたわけだから、こんなにおいしい話はない(などとコロナの最中に予測できた人はほとんどいなかっただろうし、いたとしても結局のところそれはGT-Rに対する情熱の発露でしかなかったはずだけれども、それはさておき)。 どんなクルマ好きだって結局は“安く買って高く売りたい”と思っているものだ。もうからないよりもうかったほうがいい。当たり前だ。そこは基本として絶対ある。投機目的じゃなくても、一般的な心情として必ずある。 だから買えるチャンスがあったはずなのにもはや買いたくても買えないクルマのことをああだこうだと批判したところで何も始まらない(コレクターアイテムは大抵そうだ)、という元も子もない大前提をあえて先に記しつつ、それでもGT-R NISMOに3000万円の価値がある理由を経済面以外で突き詰めてみよう。