夫の機嫌を常にうかがう妻。「支配を愛情だと思い込んでいたんです」原因は、まだ耳慣れないモラハラ【マニュピュレート】
夫の操作で自分での意思決定もできなくなっていた
『私は夫の言葉だけが本当のことだと思い込んでいました。夫が言うとおり友達や家族と連絡を取ることを一切やめ、夫の存在が私の全てになっていました。夫の言葉は時に優しく、時に厳しく、私の心を上手に操っていました。自分の意思で行動していると思い込みながらも、今思うと夫の巧妙な操作で夫の思惑通りに動いていたのです。友人たちとの絆が切れ、私は完全に夫の支配下に置かれていたのです。 夫は私が何かを提案すると、冷たく否定し、「そんなことも分からないのか」と馬鹿にすることが増えてきました。「君は本当に無能だね。何もできないんだな。」といつも冷たい目で私を見るようになったのです。私はその言葉に何度も傷つき、次第に自分が本当に無能で役立たずだと信じ込むようになっていました。 更に夫は私が何か失敗すると、そのことを執拗に責め立てるのです。「こんな簡単なこともできないなんて、本当に情けないよ。君には何も期待できない。」その言葉が私の自己肯定感を地の底まで落としていったのです。』 マニュピレーターと一緒にいるといつの間にか支配されるようになります。 マニュピレーターが他人を支配したいと思う理由は5つあります。 1. コントロール欲求 マニュピレーターは他人を支配することで、自分が人より優れていると感じたいのです。他人をコントロールすることで、安心感と高揚感を得ます。 2. 自己肯定感の補完 実は劣等感や不安を抱えているため、他人を見下し操作することで自己評価を高めようとします。他人を従わせることで、自分が優れていると感じるのです。 3. 感情的なコントロール 感情を適切に表現できないため、他人を操作して不安や怒りを軽減します。自分自身が安心するための手段としても支配を行います。 4. 権力とコントロールの維持 他人を操作することで権力があると思い込み優位に立ちます。相手を依存させることで長期的にコントロールする目的があります。 5. 心理的な問題 内面的な不安を抱えているので、他人をコントロールすることでそれを軽減しようとします。 マニュピレーターの行動には、支配欲求や自己肯定感の補完、感情のコントロール、過去の経験、権力の維持、心理的な問題などが複雑に絡み合っています。彼らの行動は、被害者が自分の意思で決定し、自由に考える力を徐々に奪ってしまうのです。 本記事では、マニュピュレーターの夫に次第に支配されていってしまったM子さんをご紹介しました。マニュピュレーターの特徴やどうしてそういった行動にでるのかの背景について解説していただきました。 ▶続きの【後編】を読む▶ 自分が支配されている自覚のないM子さんは、気づくことができるのでしょうか。そして、夫の支配から逃げられるのでしょうか。
モラハラ/HSP専門カウンセラー 麻野祐香