日本の小学校教育に世界が注目!「靴は揃える」「教室は自分で掃除する」…学校生活を通して学ぶ「社会の仕組み」
「社会の仕組みを学ぶ」という日本の教育には利点もあるが「同調圧力」を生むという課題も
山崎監督が「国語や算数だけでなく、生活面を小学校で教えるというのが海外の人から見ると画期的に感じられるようだ」と語ると、杉田先生は「そもそも学校教育の考え方が、海外と日本は異なっている」と解説。 杉田先生によると、「海外では学校は『授業を受ける場所』だが、日本では『社会の仕組みを学べる場所』」で、学活などの集団活動を通して教育を行う「特別活動」が学習指導要領に盛り込まれているのは、世界的に見ても非常に珍しいのだとか。 千秋さんは「日本の教育は『個人の主張ができない』などマイナス面が語られることが多いが、ダメなばかりではなかった」と安心した表情を浮かべ、コロナ禍の中で撮影を行った山崎監督は「海外では1年半学校を閉鎖した場所もある中で、日本は3ヵ月休校しただけで学校を開けた。生活に制限がある中でも子どもたちは自分の役割を果たそうとしていたし、楽しみも見つけていてすごいと感じた」と、撮影を振り返りました。 一方で、「みんなが同じことを同じようにできるようにする」ことを突き詰めてしまい、結果として「同調圧力」が生まれてしまうのではないかという課題もあるといいます。 杉田先生は「確かにそれは悩みの一つではある」と語りましたが、竹山さんは「難しいところだとは思うけれど、ルールを学んでこその自由なのでは?」と持論を展開しました。
「組織での役割」を学ぶことができる「委員会」「係活動」は意義がある?教科教育時間を増やすべき?
「放送委員」「給食当番」といった「委員会」や「当番」の活動を通して、「組織の中でどう役割を果たすか」を学んでいくという小学校の取り組みも、海外では評価されているといいます。 「掃除は大人がやるもの、という環境で育った海外の人から見たら、子供に責任を与えて、任せるだけでもすごいこと」と山崎監督が語る通り、この映画はギリシャでは「子供の責任感もすごいし、信頼して任せる先生も素晴らしい」と受け止められているそうです。 杉田先生によると、給食には「仲良く食べることも学ぶ」「栄養教員による食育」「当番を通して『役割のない社会はない』ということを小さいうちから学ぶ」などの教育効果があるのだとか。 しかし一方で、「係活動などの時間が多すぎるので、教科教育の時間を増やせないか」という声も挙がっているといいます。 杉田先生は、「小学校で過ごす時間の約3割が『人づくり』に充てられているので、数値で測れる学力を伸ばしたほうがいいのではという声が出る。しかし学力を伸ばすことが、人の幸せにつながるかを考えることも大切。数値で測れる『勉強』は、人を不幸せにすることにも使うことができる」と問題を提起。 千秋さんは「お鍋の中の食材を均等に分けるなど、みんなのことを考えて動くことを学べる」と係活動の時間を肯定的に捉え、三上アナも「係活動を通して一体感を感じることができて、友だちも増えた」と同意しました。