五箇山孤立想定し訓練 南砺市、ヘリで食料輸送 地震教訓、ネット回線確保
南砺市は22日、震度6強の地震が発生し、五箇山の集落が孤立したと想定し、民間ヘリコプターで保健師や食料を運ぶ初の「空域活用防災訓練」を実施した。能登半島地震で能登地区の一部通信回線が途絶したことを教訓に、小型衛星を活用する通信システム「スターリンク」を使ってインターネット回線を確保する試験も行った。石﨑修総務部長は「空域の活用で孤立化した地域を支援する方法が確認できた。スターリンクの利点と課題も分かった」と振り返った。 【写真】スターリンクで衛星通信の試験を行う訓練参加者=南砺市利賀市民センター 訓練は国際災害対策支援機構(東京)と連携して実施した。公園や施設の駐車場など4カ所をヘリの離着陸場とし、災害時に山間部などを空路で結ぶ体制を確認した。山間部で土砂崩れが発生し、国道304号、471号、156号が通行止めになったと想定した。 利賀地域では、職員が食料や水などの救援物資の支援を要請し、物資を載せたヘリが天竺(てんじく)温泉の郷駐車場に降り立った。職員が避難所を開設した利賀市民センターに運び込み、スターリンクのアンテナも立てた。 スターリンクは、起業家イーロン・マスク氏が率いる米宇宙企業「スペースX」が開発した衛星通信サービスで、能登半島地震の被災地で活用された。 アンテナを上空の衛星に向けることで通信が可能で、今回はとなみ衛星通信テレビ(南砺市)の社員が設営した。地震で携帯電話の基地局をつなぐ回線が途切れる事態を想定し、市職員が衛星を介したネット利用の方法に理解を深めた。利賀に取り残された観光客をヘリで搬送する訓練も行われた。 平地域では、避難所の住民の健康観察のため保健師の派遣を要請し、閑乗寺公園の離着陸場からヘリに乗った保健師がたいらクロスカントリー場に到着した。