楽しそうに土俵の上でケンケン相撲を取る女児たち＝多気町西池上で

　三重県多気郡多気町西池上の伝統行事「元三大師奉納子ども相撲」（西池上自治会主催）が12日午後1時から、同所の龍華院隣の相撲場で開かれた。今年は新たな試みとして初めて女の子が土俵に上がったり、県立宇治山田商業高校相撲部（下里匡希監督）による「子どもすもう教室」を開いたりして、参加した子供31人が元気いっぱいの取組を見せた。 　奉納相撲は、江戸時代の1712（正徳2）年ごろから続く。戦後の一時期は青年団なども参加していたが、団の衰退により「子ども相撲」として農繁期を終えた10月に開かれるようになった。女子は約20年前から土俵の横に、ブルーシートに設けた土俵で相撲を取っていたが、今年は男女とも土俵で取組が行われることになった。谷村朗自治会長（67）は7月から寺関係者や保護者、地域住民らと議論を重ねて方針を決めたという。 　また伝統を次世代に引き継いでいくための第一歩として、山商相撲部の協力を得て奉納相撲の前に「子ども相撲教室」も開催。同部の1、2年生5人が参加した。 　この日は、園児から小学6年生まで31人が参加し、うち15人は女子。男子たちは相撲部員にまわしを締めてもらい、女子も一緒に下里監督や部員から相撲の礼儀作法を学んだり、稽古したりした。 　奉納相撲では▶保育園男女混合▶小学校女子▶小学校男子──の3部門で、1本勝負や2本抜きなどが実施された。土俵の大きさは園児と女子が直径2.2メートル、男子は4.5メートルで、女子はケンケン相撲で行われた。園児クラスは小さな子供たちが土俵に上がり、愛らしい相撲を見せた。女子は相手を押し出したり、片足を途中で着いてしまったりして悔しそうな表情を見せる児童も。男子は力士さながらにまわしをつかんで相手を転がす児童もおり、取組のたびに大きな拍手や歓声が上がった。 　相可小2年・大津真子さんは「ブルーシートは下に石とかがあって痛かったけれど、土の土俵はやりやすかった。今度はケンケンじゃなくて本当の相撲をやりたい」と笑顔。同4年・大津拓人君は「相撲は勝った時が一番楽しい。相手のまわしをつかむのも大事だけれど、その前にスピードで押すのがこつ」と話した。 　谷村会長は「リスクはあったけれど、無事に奉納できてよかった。高校生も子供たちも皆一生懸命にやってくれて、とても盛り上がった。来年以降の形も協議していきたい」と振り返った。