メタバース空間で分身がチバニアンを仮想体験 千葉商大&NTT東が市原市を支援
千葉県市原市は、千葉商科大(同県市川市)やNTT東日本の支援を受け、デジタル技術を生かしたメタバースと呼ばれる仮想空間を自分の分身が自在に動ける仕組みの活用について検証を始めた。第1弾として、ラテン語で千葉時代を意味する、市原市の「チバニアン」と呼ばれる地層を3次元で再現したものをネットにつなぐだけでどこからでも無料で観察し、楽しめるようにした。 NTTグループのNTTコノキューが提供する仮想空間のプラットフォーム「DOOR」を使った。千葉商科大人間社会学部の鎌田光宣教授(情報工学)やゼミの学生らがコンテンツを作った。 直接その場には行けなくても、自分の分身であるアバターを動かすだけで約77万年前に地球の磁気が逆転する現象が起きたことが分かる地層の崖を訪ねることができる。 仮想空間の案内所であるビジターセンターで、解説動画も閲覧できる。 マイクで会話できる機能も付いている。今後は、同市田淵の本物の案内所のボランティアガイドとやり取りができるようにする。空間には25人までが入室することができる。 市などはチバニアンを使った集客イベントも計画する。メタバース空間への関心を高め、「市原ぞうの国」といった他の施設の魅力も情報発信する。 メタバース空間には市のホームページからアクセスできる。市は子育て世帯や高齢者など向けの行政サービスにもメタバースを生かせないか、今年度いっぱい検証する。 4月には、千葉商大の鎌田教授が市役所でデモンストレーションを実施した。 「現地でもなかなか近づけない場所がメタバースでは見られる。若い人たちには実際に現地にも訪れてもらいたい」と語った。 小出譲治市長は記者会見で「市民のメタバースの関心度や利用実態を分析するための試みで、子育て世帯や高齢者など、時間や場所、行動に制限を伴う市民のニーズにも応えられる。行政の窓口サービスの充実に向けても、メタバースを効果的に活用することを検討していく」と強調した。