【箱根駅伝の一番星】帰ってきたエース。東洋大の松山和希が２年ぶりの箱根へ
陸マガの箱根駅伝2024カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」が今年もスタート。出場23校の注目選手を紹介する。松山和希（４年）は箱根駅伝優勝４回を誇る東洋大で、１年時から２年続けてエース区間の２区を託されてきた。しかし、３年時は故障に泣き、三大駅伝に出場していない。２年ぶりの箱根路で、復活したエースが疾走する。
箱根に照準を合わせて
箱根駅伝を前に、頼もしいエースが帰ってきた。 松山和希は１年目からエース区間の２区を任され、日本人１年生歴代２位の１時間07分15秒で区間４位（日本人２位）。２年時には、１時間07分02秒で日本人２番手の区間５位に入った。 その翌月には、ハーフマラソンで当時の日本人学生最高記録を上回る１時間00分43秒をマークしている。このように下級生時には着実に階段を上っていった松山だが、３年時の後半は故障が長引き、学生三大駅伝をすべて欠場した。 ４年生になった今季も前半は故障に苦しみ、９月に入ってからジョグを開始。「３割くらいの状態」（松山）で臨んだ10月の出雲駅伝は、４区８位と本来の走りができず。急ピッチで仕上げたこともあり、出雲の後には再び左脚の脛を痛めてしまった。脚の状態を考慮すれば、「全日本、箱根と２つの駅伝を走るのは厳しい」と判断。正月の箱根駅伝に合わせるためにも、11月の全日本大学駅伝を回避した。 だが、松山が走らなかった全日本でチームは14位と苦戦。８位までに与えられる次回のシード権を逃した。東洋大の駅伝主将でもある松山は、「本来であれば、自分が走ってシード権を取らなければいけなかったと思います。責任を果たせなかったことは不甲斐ないし、チームに申し訳なかった」と唇をかんだ。
２年分の思いを込めて
それでも11月からは順調に練習を積み、11月26日の小江戸川越ハーフマラソンでは１km３分のペース走で１時間03分35秒と、ほぼ予定どおりに走り切った。12月に入ってからは、さらに良い状態に仕上がっているという。 酒井俊幸監督は松山の起用区間について、「２区を考えています」と公言。松山自身も「前回、中大の吉居大和選手が１時間06分22秒で走っているので、同学年として勝たなければいけないと思っています。１時間06分10秒台を出して、日本人トップを狙いたい」と意気込む。 前回は２区と10区の給水を担当した。過去２年は自身が走ったコースを、給水のために数十メートルだけ走ることになったが、松山は悔しさをこらえながらサポートに徹した。 ２区を務めたのは、高校時代から何度も同じレースを走ってきた１学年後輩の石田洸介だった。19位と後方に下がった石田を「洸介は本調子ではない」と気遣いながら、最後まで諦めないよう伝え、「今日はお前がエースだ！」と激励して水を手渡したという。 あれから１年。松山は「チームに貢献する走りをしたい」と、２年分の思いを込めて23.1kmを走り抜く。
PROFILE まつやま・かずき◎2001年12月４日、福島県生まれ。168cm・50kg、Ｏ型。大田原中（栃木）→学法石川高(福島)。箱根駅伝は1年時２区４位、２年時２区５位。自己ベストは5000m13分48秒80（大１）、10000m28分42秒17（大３）、ハーフ１時間00分43秒（大２）。 文／石井安里 写真／宮原和也、井田新輔
陸上競技マガジン編集部
