中村泰士「1万人の歌謡曲」開催で大阪城ホール熱狂
中村泰士「1万人の歌謡曲」開催で大阪城ホール熱狂 撮影:北代靖典 THEPAGE大阪
「喝采」や「北酒場」など数々の名曲を世に送り出してきた作詞・作曲家の中村泰士氏(77)が企画・構成した音楽イベント、第一回「レインボー1万人の歌謡曲」がこのほど、「大阪城ホール」(大阪市中央区)で開催された。これは関西を中心にカラオケ事業を全国展開するレインボーエンタープライズとタッグを組んだもの。会場に1万人を集めて往年のヒット歌謡曲を合唱するという初の試みとなった。「『みんなで歌ったら楽しいよ』と皆さんに声をかけてきた」と言い、そんな中村氏の“大阪を歌謡曲の聖地に”の熱い思いが結実した。 【拡大写真付き】「ありがとう浜村淳です」50年目指す
1部、2部にわかれ、第1部は夏川りみ、小柳ゆき、LE VELVETS、オール巨人、水谷千重子ら豪華ゲストのステージ。アーテイストらの歌が会場に響き渡った。 2部では、中村氏の指揮のもとフルオーケストラをバックに観客1万人が大合唱。全員がコーラスとして参加するという聴衆参加型ライブで、1万人の歌声が会場を埋め尽くした。このような形の歌謡イベントは業界初の試み。「サントリー1万人の第九」に刺激を受けたものだという。 2年ほど前から考えていた企画の意図について中村氏はステージで「僕は歌謡曲が好きで歌謡曲に育てられた人間。歌謡曲愛がすごく強い。皆さんの心の中に宝物のようにしまわれているもの、それ(歌謡曲)を何とかできないかとずっと考えていた。日本の歌謡曲の名曲が時代とともになくなっていく。それが悲しい。そこで皆さんと一緒に歌ってイベントをやろうと考え、そしたらこんなに多くの方が集まって下さいました」などと挨拶した。 MCが「今日は泣きましょうよ」と言うと、「ちょっと待ってよ。おれ、もう泣きそうやわ」と早くも感無量の様子だった。
開始前には親交のあるラジオパーソナリティーの浜村淳もかけつけ、トークを繰り広げた。2部のステージではいよいよタクトをふるい、自身が作曲したちあきなおみの「喝采」をはじめ、「いい日旅立ち」「木綿のハンカチーフ」「五番街のマリーへ」「時の流れに身をまかせ」「青い山脈」「異邦人」など、昭和・平成を代表する歌謡曲のコーラスをまとめ上げ、アンコールを含めて全16曲を会場が1つになって熱唱した。 アリーナ席にいた主婦(50代)に話を聞くと、「大阪市内から今日は4人で来ました。楽しかった、よかったです。会場と舞台が一体化した感じで、ヒット歌も歌えたし、感動しました」と、話してくれた。 公演を終えた中村氏は、2時間近い指揮を執ったにもかかわらず、疲れた様子もなく、「歌謡曲は大阪のもんや、というふうにしたい」と、その熱意を一層強くしたようで、「来年以降も続けていきたい」と語った。 これまで6000人のコンサートは経験しているが、1万人はさすがに初めて。「景色が違う。めちゃくちゃ気持ちよかった」と感想を漏らした。また、あるイベンターが会場に観に来ていて、「『先生、全国ツアーできますよ』と言ってくれました」という。 もっとも、課題も残ったようで、「もう少しお客さまに優しく、寄り添ったほうがいい。すでにコーラスをされている方はちょっと難しいほうがいいんで、できたらおばさまチームの300人くらいがグループを作って、ステージ上で一緒に歌って頂いて、その方々はちゃんとハーモニーをする、というようなことになれば、もっと楽しくなると思います」と、次なるアイデアを話していた。 (文責/フリーライター・北代靖典)