米政府、中国で創業したルーター大手TPリンクを調査-安全保障巡り
(ブルームバーグ): 米政府は中国で創業したルーターメーカー、TPリンクに対し、国家安全保障上の調査を開始した。事情に詳しい関係者が明らかにした。米ルーター市場で大きなシェアを占める同社の製品は、繰り返し中国のサイバー攻撃の標的となっている。
この調査は、米国のネットワークやデータへの潜在的な脅威と見なされる中国に関係するテクノロジー企業の取り締まり強化を目指す米政府の新たな動きだ。
TPリンクは家庭用および小規模オフィス用ルーターの米市場で大きな存在感を示しているが、これまで国家安全保障上の懸念対象とはほとんどならなかった。同社のルーターは、インターネットからコンピューターやスマートフォンなどのデバイスに情報を中継する。
米商務省の調査担当者は今月、TPリンクに対し企業構造などに関する詳細な情報の提出を求めた。非公開情報だとして関係者が匿名を条件に語った。この調査は、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が18日に報じていた。
関係者によると、米下院の中国共産党に関する特別委員会の共同委員長が8月に送付した書簡を受け、今回の調査が着手された。
超党派の同委員会は、中国の法律では企業は国家の軍事・情報収集に協力することが義務付けられていると指摘。ルーターを悪用した中国による国家支援のサイバー攻撃が頻繁に行われていることにも触れた。
米商務省の報道官はこの調査に関するコメントを控えた。
TPリンク・システムズの広報担当者は、「自社のセキュリティー対策が業界のセキュリティー基準に完全に準拠していることと、米市場と米消費者に対する継続的なコミットメントを示すため、米政府と協力する機会を歓迎する」と表明した。
原題:US Probes China-Founded Router Maker on National Security Fears (抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
Kate O'Keeffe