「幾億光年」Omoinotake紅白、ふるさと松江でライブビューイング…中学時代から高い技術と独創性
松江市出身のバンド「Omoinotake(オモイノタケ)」が、大みそかの第75回NHK紅白歌合戦に初出場する。市内のライブハウスなどで腕を磨いたメンバー3人は、中学の頃から一目置かれる存在だった。夢舞台を前に、地元の関係者や友人からは喜びや期待の声が上がる。(小松夕夏、門脇統悟) 【画像】今年の紅白歌合戦に初出場するOmoinotake(左から冨田さん、藤井さん、福島さん)(c)Sony Music Labels Inc.
メンバーは、ボーカルとキーボードを担当する藤井怜央さん(32)、ベースの福島智朗さん(32)、ドラムの冨田洋之進さん(32)。上京後の2012年にバンドを結成し、21年にメジャーデビューした。今年放送されたテレビのドラマで、愛する人への変わらぬ思いを歌った主題歌「幾億光年」が脚光を浴び、ビルボードジャパンの年間総合ソング・チャートで3位を獲得した。
市内には、3人が中学の頃から足しげく通った楽器店がある。オーナーの和田浩明さん(46)は「我がことのようにうれしい」と目を細める。 和田さんは3人が持ち込んだオリジナル曲を聞いた当時を振り返り、「中学生とは思えない高い技術とその独創性に圧倒された」。藤井さんらは和田さんが経営するライブハウス「松江B1」への出演をきっかけに、注目されるように。高校時代は、大阪や広島のライブハウスに和田さんが運転する車で遠征した。
紅白出場発表の1週間前、全国ツアー中のオモイノタケは、松江B1で凱旋(がいせん)ライブを行った。「毎年のように地元に帰って来てくれてありがたい」。出場決定後、LINE(ライン)で送った祝福のメッセージに、福島さんからは「おかげさまです!」と返信。記者会見後の控室で撮影した写真も添えられていた。 松江B1は、大みそかの演奏に合わせたライブビューイングを計画。来年1月29日にはセカンドアルバム「Pieces」も発売される。和田さんは「紅白出場は彼らの長年の夢。思いの丈を思い切りぶつけてほしい」とエールを送る。
バンド仲間の市議「夢つかみすごい」
松江時代のバンド仲間だった松江市議の小沢一竜さん(35)は「やばい中学生がいると当時から有名でした」と振り返る。自身も東京で音楽活動に励み、路上ライブをこなしながらバイトで生計を立てる下積み時代も間近で見ていたといい、「僕は30歳で松江に戻り、違う道に進んだ。数え切れないバンドがある中で夢をつかむなんて、本当にすごい」と喜ぶ。 中学時代、藤井さんらと同じバンドでドラムを担当していた松田章吾さん(32)は今、市内で企業のブランド価値を高める会社の役員を務める。「紅白の舞台でも、これまで奏でてきた音楽を変わらず届けてほしい」と話した。