VS文春裁判、霜月さんの証言は「超重要」? 米山隆一氏が考える松本氏側“証人”の条件
「霜月氏の証言“重要”」意見に、米山氏「理解困難」
――橋本徹弁護士は「霜月さんの証言も一緒に載せるべきだったと評価されれば文春の負け」とX上で投稿されていますが、米山議員は霜月さんの証言は本論にならないと反論されています。なぜ本論にならないのか、教えてください。 米山氏:松本氏が今回起こした民事訴訟では、2015年冬に「グランドハイアット東京」で行われたそれぞれ別の飲み会について、女性(A子さん、B子さん)の証言に基づく『週刊文春』の報道が名誉毀損に当たるか否かを争っているとのことなので、それと別件である2016年夏の「リッツカールトン大阪」での飲み会の事情についての証言(J子さん、霜月氏)は、基本的に無関係です。これはほとんどの弁護士が同意する基本的な所だと思います。橋下氏や東国原氏がこれらの証言を「重要」としている事に合理的理由は見いだせず、理解困難です。 ――霜月さんは証人として出廷しても良いと発言していますが、仮に霜月さんが法廷で訴えた場合でも、重要な証言とはいえないのでしょうか。 米山氏:先にお答えした通り、霜月さんの証言は、報道されている通りなら、本件訴訟の争点と直接関わりません。やはり重要な証言とはならないと思います。それ以前に、争点と直接関わりのない霜月さんの証人尋問を裁判所が認める可能性は低く、霜月さんが証言する機会はまずないと言ってよいでしょう。
松本氏を救う「証人」の条件
――では今後の裁判で、松本氏側がどのような証人を用意できれば、文春側の主張を崩せる可能性があるのでしょうか。 米山氏:松本氏側の弁護士は、「A子さん、B子さんの証言が真実ではない」との心証を裁判官に抱かせなければなりません。 そのためには、その時の録音・録画の様な客観的証拠があればいいのですが、ないのであれば、“その場にいた”証人の証言を提出する必要があります。 つまり、2015年冬にグランドハイアット東京で行われた飲み会に臨席し、A子さん、B子さんと異なる証言をする証人です。その人を仮にX子さんとしましょう。 X子さんが現れた場合、仮にA子さん、B子さんの証言とX子さんの証言が矛盾して真偽不明となったとしても、松本氏側は、「適切に取材をすれば、その場にX子さんが居たことは分かったはずである。当然X子さんにも取材をすべきで、取材していれば、A子さん、B子さんの証言とは異なる証言をしていること、すなわちA子さん、B子さんの証言は真実と信ずるに足りないことが分かったはずである。その様な十分な取材を尽くしていない以上、真実相当性は認められない」と主張することができるようになります。 しかし松本氏側に客観的証拠も、A子さんB子さんの証言を少なくとも真偽不明にできる程度の証人(X子さん)もいない場合は、私は松本氏側は相当に困難な訴訟追行(手続き)を強いられることになると思います。
弁護士JP編集部