英中銀チーフエコノミスト、利下げには慎重期す-「まだ道のり」
(ブルームバーグ): イングランド銀行(英中央銀行)チーフエコノミストのヒュー・ピル氏は、利下げ時期の判断に当たっては慎重に慎重を重ねると述べ、インフレが持続するリスクへの警戒を怠らないことが当局者は必要だと主張した。
ピル氏はロンドンでの講演で、英国の経済と物価圧力はおおむね3月始めに自身が予測した通りに展開していると指摘。この結果、「波乱なく時間が過ぎたことで、英中銀の利下げはやや近づいた」と語った。
ただ、「コアインフレの持続的な勢いが落ち着いたと自分が納得するまでには、まだそれなりの道のりがある」との認識を示し、利下げが差し迫っているとの期待には冷や水を浴びせた。
英中銀は5月9日に金融政策委員会(MPC)次回会合の政策判断を明らかにする。同日にはインフレと経済成長に関する広範な予測も発表される見通し。これを控え、MPC委員らは金融政策に関する発言を禁止される期間に近く入る。英中銀は2月、インフレ率が予想通り2%に向かって低下すれば、年内の利下げが選択肢になると示唆していた。
エコノミストらはエネルギー料金の低下で4月の英インフレ率は大きく下がるとみており、ピル氏も同様の見解だ。それでも、直近で発表されたインフレ率は英国、米国とも期待されていたほど下がらず、金利が年内に急低下するとの見方が世界各地で後退した。
短期金融市場が現在見込む英中銀の年内利下げは0.25ポイントがわずか2回。年初には5回または6回と織り込まれていた。
ピル氏は高止まりするコアやサービス価格の根強いインフレを引き続き懸念しているとも語った。
また、ピル氏に先駆けてMPCメンバーのハスケル委員は同日、英国の労働市場が依然として「極めてタイト」だと警告、それが「インフレの核にある」と論じた。同委員は最近まで利上げを支持し続けていた。
原題:BOE Chief Economist Says He’s Cautious on Interest Rate Cuts (1)(抜粋)