由来を教えて!劇団名50 その42 ハツビロコウ
次々と新たな作り手が頭角を表す演劇界。数ある劇団の中から、ジャケ買いならぬ“劇団名買い”で観劇に行った経験はないだろうか。チラシやニュース、SNSなどで目にする劇団名は、シンプルなものから不思議な音の響きを持つもの、「どういう意味?」と目を引くものまでさまざまだが、それには名づけ主の希望や願い、さらには演劇的活動戦略が込められているはず。このコラムでは多彩な個性を放つ若手劇団たちの、劇団名の由来に迫る。劇団名が持つ秘密と共に、未来の演劇界を担う彼らの活動の軸を紐解いていく。 【画像】ハツビロコウの過去の公演より。(他1件) 42番目に登場するのは、松本光生を中心とするハツビロコウ。丁寧な作品作りに定評のある彼らは、チェーホフ、イプセン、松田正隆、鐘下辰男など、国内外の多様な作家の作品を精緻に立ち上げてきた。「ハシビロコウ? ハツビロコウ?」と思わず二度見してしまう団体名の由来は、意外なところにあった。 ■ ハツビロコウ □ Q. 劇団名の由来、劇団名に込めた思いを教えてください。 団体結成時、必要最小限の表現で、丁寧に物語を紡ぐ集団でありたいという思いから、動かない鳥“ハシビロコウ”の名を冠する予定であったが、創立メンバーのひとりが書いたカタカナ表記のミスが原因で「シ」を「ツ」と登録してしまい、現在のハツビロコウという団体名に至る。 □ Q. 劇団の一番の特徴は? 照明が暗く、簡素なセットの中で、国内外の優れた戯曲に取り組み、形式にとらわれず、リアルでストレートな作品を立ち上げること。 □ Q. 今後の目標や観客に向けたメッセージをお願いします。 創作する自分たちが、本当に満足できる出来る作品を提供し、観客の皆さんとその豊かな喜びを共有する。 今後とも、登場人物の行動を深く掘り下げ、一つ一つ丁寧に作品を創ってまいりますので、是非劇場にお越し下さい。 ハツビロコウ 2015年に松本光生を中心に結成。“待つ存在から、発信する存在へ”をメインコンセプトに活動している。4月2日から7日までの第16回公演ではアントン・チェーホフ「三人姉妹」を松本の上演台本・演出で立ち上げる。