「ジャベリン被弾でも生存」とロシアが誇ったT-90M戦車、ネットのツッコミで嘘と欠陥バレる
ロシアご自慢のT-90Mはめぼしい戦果がひとつも確認されていない
■書き換えられる説明 当初の説明を誰も信じていないことがわかってくると、ロシア側はにわかに説明を変え始めた。 最初に動画を共有した「出来事に照らして」チャンネルは翌日、「ジャベリンは誘導を失い、煙が立っている地点に着弾した。その爆発で煙が吹き飛ばれて車内に還流し、一握りの破片も大砲から砲塔内に飛び込んできた」と投稿した。 一方、「ヘルソン州のタブリヤ」(タブリヤ、ヘルソンスカヤ・オーブラスチ)を名乗るロシアのブロガーは、また別の説を唱えている。タブリヤは、ジャベリンで使われているような赤外線画像システムを惑わせる「ナキドカ」(マント)というロシアの特殊な電波吸収偽装をもち出し、「燃えたナキドカの一部が砲身内に引き込まれた」と説明している。それが、砲尾が開かれた際に見えた火炎の正体だという。 これら2つの説明は互いに矛盾していて、どちらも後炎という明快でオーソドクスな説明より筋が通っていない。 ロシア側の言説では、T-90Mが見舞われた惨事のような出来事を成功譚に書き換える傾向があり、このT-90Mもその一例と言えそうだ。 たとえば、片方のキャタピラ(無限軌道)から炎を上げながら走行するあるT-90Mの動画について、当初は「FPV(一人称視点)ドローン1機を被弾して後方に帰還している」ところだと説明されていたが、いつの間にか「FPVドローン3機の被弾に耐えたと伝えられる」という話に膨らんでいる。 最近の戦闘で戦車の「成功」というのは、たとえば、小型ドローンの攻撃を受けても損傷で済み、撃破を免れるというものだろう。あるいは、欠陥のある弾薬による窒息死を避けられることもそうかもしれない。 T-90Mが実際に目標を撃破したり、戦闘に勝利したりした映像はひとつもないようだ。少なくとも、T-90Mが米国製M2ブラッドレー歩兵戦闘車に撃ち抜かれた有名な映像に対抗できるようなものはない。 それどころかウクライナ側からは、T-90Mが主に小型ドローンで爆破される動画が多数投稿されている。
David Hambling