地震後の職員派遣に感謝 能登町長が和歌山県知事を訪問
能登半島地震被災後、和歌山県や県内の市町村から職員が派遣され、業務支援を受けたことについて、石川県能登町の大森凡世町長が21日、和歌山県庁の岸本周平知事を訪問し「感謝の言葉しかありません」と謝辞を伝えた。その上で、同じ半島に住む和歌山県民に対し、普段からの備えが大事だとのメッセージを送った。 【ドローンで防災力強化 市町村に活用示す、和歌山県がガイドラインの記事はこちら】 能登半島地震は1月1日に発生。被害は町内全域に渡り、土砂崩れや津波、液状化、地滑り、道路崩壊、火災などがあった。能登町の直接死は家屋の倒壊による2人で、23人が災害関連死として認定。家屋は町内のほとんどとなる約1万2600戸が被害を受けた。 関西広域連合の割り当てで、能登町の支援を担当した和歌山県からは、5月末までに県、市町村職員を合わせ、延べ2560人を派遣。避難所運営や住家被害認定調査、罹災(りさい)証明書発行事務、支援金受け付けの支援などに当たった。 大森町長は支援に感謝の言葉を述べた上で、平地が少なく仮設住宅用地の確保に苦労したこと、道路が崩れて集落が孤立したためとにかく道路を啓開したことなどを伝えた。再建に向けての一番の課題は、住民の前向きな気持ちを導き出すことだという。 岸本知事は「明日はわが身で、南海トラフ巨大地震の臨時情報では冷や汗をかいた。これから復興が大変だと思うが、お手伝いできることがあればさせていただく」と応じた。 知事訪問の後、報道陣の取材に応じた大森町長は「職員も全員被災し、役場に集まったのは4割程度だった。派遣は非常にありがたい制度」と話した。和歌山県民に対しては「備蓄など住民一人一人が備えることが一番大事。巨大地震の臨時情報が出ると、店の水がなくなったという話も聞いた。(能登町でも)注意喚起したい」と述べた。
紀伊民報