サザン初出場の時代 ひばり、百恵のラスト紅白
今夜、東京・渋谷のNHKホールで行われる「第69回 NHK紅白歌合戦」に出場するサザンオールスターズ。すべての曲が終わった後、最後の最後に特別企画として登場し「勝手にシンドバッド」と「希望の轍」を披露するという。今年デビュー40周年を迎えたサザン。紅白には2014年以来4年ぶり5回目の出演となるが、NHKホールのステージで歌唱するのは1983年以来じつに35年ぶりとなる。そして今回の紅白は、“平成最後の”紅白。まさに平成の大トリといえる大舞台が、サザンに回ってきた形だ。
美空ひばり、山口百恵、最後の紅白
サザンが初めて紅白に出場したのは、1979年の第30回NHK紅白歌合戦にさかのぼる。紅組では石野真子が「ジュリーがライバル」、大橋純子が「ビューティフル・ミー」、金沢明子が「津軽じょんから節」、金田たつえが「花街の母」、そしてジュディ・オングが「魅せられて」、小林幸子が「おもいで酒」で初出場。 一方、白組の初出場組もサザンのほかに渥美二郎が「夢追い酒」、フルコーラス歌唱が話題を呼んださだまさしの「関白宣言」、ゴダイゴが「ビューティフル・ネーム」と豪華なラインアップだった。 また、30回記念という節目でもあり、三波春夫、水前寺清子、菅原洋一、佐良直美、フランク永井、島倉千代子がそれぞれ初出場時の曲を披露、さらに美空ひばりと藤山一郎が特別出演した。美空と山口百恵は、結果的にこれが最後の紅白出場となった。
サザンは『いとしのエリー』を披露
そんな中でサザンは「いとしのエリー」を披露した。この年の3月にリリースされた3枚目のシングルで、当時はタイミングとして2月リリースの西城秀樹「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」、ジュディ・オングの「魅せられて」と“超強敵”を追ってのリリースとなってしまい、オリコンウィークリー1位は獲得できなかったものの、同トップ10には16週に渡ってランクイン、息の長いロングヒット作となった。
“平成の大トリ”でどんなステージを
私事で恐縮だが、この年の6月に高校の修学旅行があった。北海道をバスで一周したのだが、スポットからスポットへの移動時間が非常に長く、窓外の景色もあまり変わらない上に、女子と会話するにもバスガイドさんしかいない男子校という殺風景な状況だったため、退屈しのぎにマイクが回されて野郎だらけのカラオケ大会となってしまった。そこで何度も何度もクラスメイトたちが同じ曲を歌っていた。それが「いとしのエリー」だった。 当時あまり歌に興味のなかった私が、耳にタコができるぐらい聴かされて、しまいにはワンコーラス覚えてしまったぐらい。昭和のヒット曲というのはそういうものだったのだろうと思うし、昭和生まれのバンドでありながら、そのまま平成の時代も駆け抜け、時に紅白出場をめぐっても話題になってきたサザンは、“平成の大トリ”を務めるのにふさわしい存在ということだろう。 今宵どんなステージを見せてくれるのか。 (文・志和浩司)