松島町のハンバーガー 世界一への挑戦〈宮城〉
仙台放送
今年6月に開催された日本一のハンバーガーを決める大会で優勝した、宮城県松島町のハンバーガーショップが11月、ハンバーガー発祥の国・アメリカで世界大会に臨みました。日本一のプライドを胸に、宮城から世界に挑んだ戦い、果たして結果は。 今年6月、さいたまスーパーアリーナで開催された「ジャパン・バーガー・チャンピオンシップ」。全国から予選を勝ち抜いた18店が、「日本一のハンバーガー」を目指し熱戦を繰り広げました。初出場で見事頂点に輝いたのが…。 「勝者!ハリーズジャンクション!おめでとうございます~」 松島町に店舗を構える「ハリーズジャンクション」代表の佐藤賢将さんです。 佐藤賢将さん 「優勝すればアメリカ行けるので、アメリカに行きたいっていうところが大きい」 松島町出身で普段からお店でも県産食材を積極的に使用するなど地元愛が強い佐藤さん。大会でも仙台牛のパテや松島産のカキをジャムに仕立てたハンバーガーで勝負。かつて東京の店でともに修行した川領平さんのサポートも得て見事、世界大会の切符を手にしました。 佐藤賢将さん 「せーのっ、アメリカに行くぞ~!」 アメリカ行きを1週間後に控えた11月1日。 佐藤賢将さん 「お電話ありがとうございます。ハリーズジャンクションです」 松島の店には調理に接客にと忙しく動く佐藤さんの姿がありました。 佐藤賢将さん 「だいぶ色んな人に来てもらって、声もかけてもらってありがたい限りという感じです」 優勝後は県外からも多くの人が訪れるようになったと言います。 世界大会のハードルの一つが鮮度や衛生面の観点から食材を日本から持っていけないこと。現地で、ほしい食材が手に入る保証は無く料理人としての総合力が試されます。 佐藤賢将さん 「現地で、宮城っぽいのが揃えられたらなっていう感じではいるんですけど、予選はだいぶアメリカ人寄りにレシピを作ったので、決勝に残れればカキを使えたらなという感じ」 少しでも宮城らしさを出したい佐藤さん、秘密兵器を揃えていました。 佐藤賢将さん 「最初、予選でお皿として使うのが、この雄勝石のお皿ですね」 このほかに飲み物を入れるための玉虫塗のグラスと敷物としての若柳地織の3点。 佐藤賢将さん 「三種の神器みたいな感じで…笑。あまり気負わず楽しくできればいいなという感じですかね、予選ももうレシピは出しているので変更はきかないので、きれいに作れればいいなという感じですかね。頑張ります!」 決戦の舞台はアメリカ中西部の都市インディアナポリス。 佐藤賢将さん 「アメリカに着きました。こちらが宿です。日本から20時間くらいかかりましたね」 大会の5日前に現地入りした佐藤さんたち。 佐藤賢将さん 「きょうはいっぱい買いますね。野菜と器材系ですかね。小物…ゴムベラとかタッパーとか見てっていう感じですかね」 食材に加え調理器具などもほとんどが現地調達。食材の目利きはもちろん、臨機応変な対応が求められます。 佐藤賢将さん 「パクチーですね、コリアンダー。すごく状態がいい」 予選では90分以内に6個のハンバーガーを作る必要があります。大会では日本とは違い電熱線タイプのコンロが使われるため、火加減の調整に四苦八苦。あらゆるトラブルを想定しながら、本番まで試作を繰り返します。 川領平さん 「あダメだ、やっちゃいけないんだ。たまには真剣な顔で作っているのをみせないと」 佐藤賢将さん 「またやったの?」 川領平さん 「そうそうまたやっちゃった。職人の顔しよう」 2人はモットーである「楽しむこと」を何より大切にしたいと話します。 川領平さん 「日本大会と同じく楽しく、ハンバーガーというのは楽しいものなんだよって。楽しい食べ物なんだよっていうのをどう表現できるかなって」 佐藤賢将さん 「アメリカでね」 川領平さん 「僕がメインでしゃべっちゃった」 迎えた予選当日。世界最大のフードスポーツの祭典とも称される、この「ワールドフードチャンピオンシップ」。世界中から集まった1400人以上のシェフが「ハンバーガー」のほか「サンドイッチ」や「スープ」など12部門に分かれ、頂点を目指します。 ハンバーガー部門にはアメリカ、フランス、韓国やドミニカ共和国など7カ国から21チームが参加。「調理の正確さ」と「見た目」そして「味」、3つの審査項目でスコア上位の4チームと審査員が推薦する3チームの7チームが2日後の決勝に進むことができます。 佐藤賢将さん 「全部英語なので、だいぶ緊張感は感じますけど、何を言っているかわからないので、それが逆に良いかもしれませんノリでやっています」 恐れるものは何も無し!大一番を前に緊張はありません!そして…。 「3、2、1、スタート~レッツゴー」 いよいよ競技がスタート。佐藤さんたちが予選で作るのはクリスピーな食感のフライドポテトに、ジューシーなパテやサルサをサワークリームで合わせたハンバーガー。普段店でも出しているメキシコの定番料理「カルネアサダフライ」をハンバーガーにアレンジしました。 佐藤賢将さん「練習より良いね!」 観客「オイシイデスカ」 2人「オイシイデス!カリカリ!」 息の合ったコンビプレーで順調に調理を進め無事に時間内に完成! 佐藤賢将さん 「やりましたね、一番盛り上がったと思う」 ベストを尽くしてあとは結果を待つのみ。次々にライバルたちの名前が呼ばれていきます。そして最後の1枠…。 「The first place, the point is 98.25、ロビン・レイ!」 佐藤さんの初めての世界大会は出場21チーム中7位。 決勝には残れませんでしたが、上位10チームに入ったため来年のシード権を獲得しました。確かな手応えを感じ気持ちは既に来年に向いていました。 佐藤賢将さん 「本当は決勝でカキを使おうと思っていたんですけど、それはなかなかできず残念だったんですけど。来年はまず予選突破をして決勝でもっと宮城らしい感じを出せたらいいなと思いますね」 松島から世界へ、佐藤さんの視界には世界の頂点が見えているようです。
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