小さな音にも敏感に…揺れにおびえる被災者 一方、避難所でなく危険判定の家で寝る母娘も…ワケは 【バンキシャ!】
日テレNEWS
最近、大きな地震が続いている。11日には千葉県木更津市で震度5強、13日には鹿児島県十島村で震度5弱を観測。バンキシャ!は今回、2年以上地震が頻発している石川県珠洲市へ。5日にも震度6強の揺れに見舞われたこの街で、私たちは、今も揺れにおびえる人たちを目の当たりにした。(真相報道バンキシャ!) ◇ 11日、千葉県木更津市を襲った震度5強の地震。同じ日には北海道浦河町なども震度4を観測。6日には青森県東通村で震度4、13日にも鹿児島県十島村で震度5弱の地震を観測した。全国各地で地震が相次いでいる。 バンキシャ!は13日、この2年半、活発な地震活動が続く石川県珠洲市へ向かった。震度6強を観測した今月5日以降だけでも、揺れを感じる地震が100回以上発生している。 街のいたる所で見られたのが、「危険」と書かれた赤い紙だ。倒壊や落下物の危険性がある住宅など約360軒が、石川県の調査で立ち入ることが「危険」と判定された。復旧作業が続く現地で聞こえてきたのは、終わりなき地震への不安の声だった。 ◇ 12日、バンキシャ!は、自宅前でソファに座る男性(68)に出会った。 ──中の様子は? 自宅が被災した男性(68) 「中は住める状態じゃないですよね。崩れているのと、あとちょっと怖いんですよね、土台がずれてますから」 その影響で、自宅の玄関は開け閉めもままならない。外壁もはがれ落ちてしまい、立ち入ることは「危険」と判定された。男性は地震発生から1週間は車に寝泊まりしていたが、それも限界に。今は避難所で生活しているという。 ピーピーピー! 甲高い音を聞いて、男性はハッと振り向いた。鳥の鳴き声だ。 自宅が被災した男性(68) 「ちょっとの音で、なんかドキッとするんですよ」 そう言って笑ってみせたが、男性はわずかな音にも敏感になっているという。能登地方では、この2年半で震度5弱以上の地震が5回発生するなど、活発な地震活動が続いている。 ──この土地には住みたい? 自宅が被災した男性(68) 「いやー、いたいですよ、やっぱり。田舎ですけど」 ──この先どうしますか? 自宅が被災した男性(68) 「いや全く考えてない、白紙状態ですよ。できれば、直るもんなら直して住みたいんですけど」 ◇ 13日。40代の母親と中学3年生の娘(14)に出会った。この母娘も地震以降こう感じていた。 母親(40代) 「風が吹いても車が通っても家が揺れるので。揺れを強く感じるという部分もあれば、実際には揺れてないけれども、ちょっとした不安で揺れているように感じるという部分もあって」 ──車の音とか風とかはどうですか? 娘(14) 「慣れてきたけど、まだ怖い感じ」 自宅は、地震で大きなダメージを受けた。基礎の部分がずれ、窓ガラスが割れ、「立ち入り危険」と判定された。しかし、この母娘はこの家に住み続けていた。それには理由があった。 母親(40代) 「娘も相当、怖い思いをしたので、普通の生活のスタイルが崩れること自体がストレスで、通常の学校生活と日常生活がさらにつらくなると(娘が)言っていまして。なので、非常に危険な状態というのを分かった上で、背の高い机2台並べて、机の下に布団をしいて寝ている」 家族で話し合い、避難所ではなく自宅での生活を選んだという。 ◇ 活発な地震活動が続いている能登地方では、この約2年半で、震度1以上の地震が400回を超えている。自宅の片付けをしていた女性(71)が被害状況を見せてくれた。 女性(71) 「ここ、開いてしまっている。裂けてしまっている」 家屋の基礎の部分が、割れていた。 自宅の隣にはおよそ20年間、夫婦で経営してきたというスナックがある。天井がはがれ落ちた店内。「立ち入り危険」の判定を受け、取り壊すことを決めたという。金沢市から片付けを手伝いに来ていた息子(39)は、1歳の子どもを連れて、来年珠洲市に戻ってくる予定だったという。 息子(39) 「この場所を利用して、なんか珠洲を元気づけられるようなお店をしたいなと」 しかし──。 息子(39) 「(地震が)明日来るかもしれないですし、来年同じ時期にまた来るかもしれない中で、やはり安全を考えると本当にいいのかなという葛藤は正直ある」 ──お孫さんは小さいですが? 女性(71) 「やっぱり心配ですね。こればっかりは。地震はいつ来るか分からないですからね。心配です」 (2023年5月14日放送『真相報道バンキシャ!』より)