「勝負師の資格はポーカーフェースにあり」数々のタイトルを獲得してきた感情マネジメント術【“甦る伝説”杉原輝雄の箴言集⑦】
集中力は「思い切り」で高める
ーー「集中力は結果を恐れぬ“思い切り”で。結果はなるようにしかなりません」 ボクらが30~40代の頃、アメリカではジャック・ニクラスが帝王と呼ばれていて史上最強のゴルファーといわれておりました。そのニクラウスが勝ったある試合で、グリーンを読み、パットのアドレスに入った時、一陣の風が吹いて帽子が飛んだそうです。しかし、ニクラスはそのままパッティングし、入れたんやが、帽子が飛んだのは全然分らんかったというんです。 つまり、それだけパッティングに集中していたということで、その頃ニクラスは3メートルくらいのパットは外す気はしなかったといっていました。どうやったら、それくらい集中できるのか、凡人ゴルファーのボクではよう分からんが、ボクの集中力の高めかたは一言、「思い切り」に徹することやいうことです。 たとえば、ピンを攻める時、右からいくか、左からか、そんな時は迷うのは当然でしょうが、しかしいったん決断したらもう迷いは捨てることです。それがいや、まだこちらかもしれない、待てよ……、これがいちばん集中力をそぐことやと思っています。パットにしてもそう。芝一本でラインが変わるなど、神様仏様の領域です。それを読みきろうというのが、そもそも傲慢な気持ちの現れやないですか。直感や目でイメージして、こうだと判断したらもう迷わん。中途半端な気持ちでは集中できるわけがありませんやろ。中途半端な気持ちで心乱れて打って、生きた球足になるわけがありませんよ。 その結果、失敗すればそれまでのことや。結果を恐れてはいけません。これで終わったと諦め、それを糧に練習して出直せばいいことなんです。 文/古川正則(ゴルフダイジェスト特別編集委員)
みんゴル取材班