【大学野球】東京六大学野球連盟理事長の心温まる閉会挨拶「夕暮れ時に見せた皆さんの表情は、とても尊く映りました」
早大が9年ぶりの春秋連覇
東京六大学リーグ戦は、14年ぶりに優勝決定戦(11月12日)が行われた。早大が明大を4対0で下し、2季連続48度目のリーグ制覇。9年ぶりの春秋連覇で熱戦は幕を閉じた。 【選手データ】印出太一 プロフィール・寸評 閉会式の閉会挨拶は、東京六大学野球連盟の理事長が担う。理事長は加盟6校の野球部長による持ち回り。2024年度は早大が当番校であり、早大・日野愛郎部長が務めた。閉会式の冒頭では天皇杯授与。今春に続き、早大の主将・印出太一(4年・中京大中京高)に手渡しできたのは、至福の時間だったはずだ。 閉会挨拶は、神宮球場で活動を展開する学生たちに寄り添った、心温まる内容だった。以下、一部の文言を抜粋する。 「六大学すべてが、各校のプライドをかけて、最後で全力で戦うその姿を、私たちは見届けることができました。最後の試合、夕暮れ時に見せた皆さんの表情は、とても尊く映りました。スタンドでそれぞれの役割でチームを支え続けた4年生、最後まで声を振り絞って応援し続けてくれた応援団、応援部、応援指導部の皆さん、4年間をやり遂げた皆さん一人ひとりを、心から誇らしく思います。(2020年夏の新型コロナウイルスの感染拡大による)高校生のときに味わった甲子園大会中止の悔しさ、無力感は、今でも忘れることはない。(4年生は)同級生の気持ちを、大事にしていたように思います」 そして、最後にこう締めている。 「東京六大学野球連盟は来年で100周年を迎えることとなります。これまでの100年がそうであったように、これからも学生の皆さんが輝き、成長する場であり続けられるように、引き続き、皆さんのご支援を賜りますようお願いを申し上げまして、閉会の挨拶とさせていただきます」 6校の選手、連盟関係者、スタンドに残った観衆が約5分のスピーチに聞き入った。2025年は連盟創設から1世紀。「共存共栄」の精神が根付いている。早大・小宮山悟監督が、明大との優勝決定戦後の優勝インタビューで語っていたのが象徴的だ。「六大学になると、早稲田に限らず、明治さんも全員が同じ志の中でグラウンドに立っていると思いますので、素晴らしい仲間たちと良い試合ができて良かった」。6校それぞれが各大学をリスペクトし、手を取り合って、歩み続けるのである。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール