はぎれをつなぎ合わせたファブリックロープが困窮世帯の生活の糧に…子育て拠点「じじっか」が“しめ縄”を販売
毎週末、訪れた親子に食事を提供している福岡県久留米市の子育て拠点「じじっか」では、持続可能な運営に向けて、新たな取り組みを始めました。寄付という形で寄せられた善意を無駄にせず、自分たちで食材費を捻出しながら利用者の意識も変えていく仕組みです。 【写真で見る】はぎれをつなぎ合わせたファブリックロープ 子育て拠点「じじっか」
32世帯でスタート 3年で登録家族は約250世帯に
子供たちの元気な声があふれる、福岡県久留米市の子育て拠点「じじっか」 毎週末、訪れた親子に昼食や夕食を提供するほか、施設に来られない人には食材や料理の配達も行っています。32世帯の親子でスタートした「じじっか」は、開所から丸3年が経ち、今や約250世帯が登録しています。
寄付で賄われている食事や食材
経済的・精神的に困窮する世帯のセーフティネットにもなっているじじっか。賃料や電気代など運営にかかる費用は自治体や団体からの補助金で賄っています。一方、提供している食事や配達する食材の多くは、基本的に個人や企業からの寄付で賄っているため、十分な量を確保することは開所当初からの課題です。立ち上げ当初からのメンバーの樋口由恵さんは、開所から3年が経ち、食材の提供を受ける側の意識も変化してきていると話します。 じじっか コミュニティマネージャー 樋口由恵さん(44) 「多くの人が、食材をもらうことが日常になってしまっている。その一方で、『自分たちよりも困っている人に回してほしい』と遠慮して、必要な量を受け取らない人もいる。無用な遠慮をせずに、必要なところに必要な分だけ食材を届けるためにできることはないか、ずっと考えていました」
持続可能な運営にするために編み始めた「リリボン」とは
そんな思いから「じじっか」では、10月から新しい取り組みを始めました。端切れをつなぎ合わせたファブリックロープの製作です。じじっかでは「リリボン」と呼んでいます。じじっかには、子供用から大人用までたくさんの衣類が寄付されていて、利用者は自由に持ち帰れます。この寄せられる衣類の中には、穴が開いていたり汚れていたりしてそのまま着ることが難しいものもあります。「リリボン」の材料となる端切れは、これらの着られない衣類を細長く裁断して作られています。 じじっかコミュニティマネージャー・樋口由恵さん(44)「そのままでは着られない衣服は、これまで活用策がありませんでした。リリボンは、『Re(再生された)Ribbon(リボン)』という意味。寄せられた善意を無駄にすることなく再生し、皆でつないでいきたい」