『フリースタイル日本統一』#12ーー事実上の決勝戦は“かわいい担当”が鍵を握る?
2023年10月より放送中の『フリースタイル日本統一』(テレビ朝日/ABEMA)。同番組では、全国16地区で活躍するラッパーが3名1組となって、それぞれの地元の威信を賭けてフリースタイルバトルに挑戦。勝利チームは敗退チームから好きなラッパー1名を吸収し、最終的に日本統一を果たすと、その暁として賞金100万円が贈られる。 【写真】『フリースタイル日本統一』#12の場面写真 今回は、12月19日に公開された【#12】のハイライトを振り返っていく。細かなネタバレもあるためご注意いただきたい。 ・NAIKA MCがDARKを制圧 「ヤバいおっさんのネチネチスタイルが上回った」 前回の【#11】に引き続き、TEAM東北(Sitissy luvit×DARK×USTR×脱走)とTEAM北関東(DOTAMA×NAIKA MC×Yella goat×MC☆ニガリa.k.a赤い稲妻)が対戦中。TEAM東北からは大将・DARKが登場する一方、TEAM北関東のNAIKA MCはまだ2番手と、かなり余裕を持った展開となっている。DARKにとって、これ以上なく厳しい展開だが……。 このバトルは結果的に、NAIKA MCが5-0で圧勝。DARKは自軍の3番手を務めたSitissy luvitと同様、NAIKA MCのベテランな切り返しに、牙城を崩せぬまま終わってしまった。というのも〈DOTAMAの次にお笑い芸人 その枠でHIP HOPやってろよ〉などのラインは、NAIKA MCにとっては絶好の打ち込む隙となる。 NAIKA MCは〈それもやり続けたらスタイルになるんだわ/途中で何もない奴が踊り タコ踊り 暴走族かボケ コラ/だったら地元は北関東 ブンブブブブンブン ブンブンブン〉と、暴走族のコールを再現でちょけつつ煽ると、最後には最後にはDARKの地元・福島を〈ほら 南北関東さん おいでよ〉と、絶妙にイラっとくる“位置関係ディス”を披露。いままさに自軍に取り込まんばかりに息巻いてくる。審査員のGOCCIからも「NAIKAがキープしたヤバいおっさんのネチネチスタイルが上回った」と講評があったが、本当にその言葉通り。NAIKA MCにとって、“ヤバいおっさんのネチネチスタイル”はもはや賛辞でしかない。 これでTEAM北関東の3回戦進出が決定。TEAM東北からは、MC☆ニガリa.k.a赤い稲妻を破り、スキルフルなラップを見せつけたSitissy luvitを吸収した。次の対戦相手からすれば、TEAM北関東からなるべく早く、DOTAMAをバトルの場に引き摺り出しておきたいところ。終盤戦に近づくにつれて、DOTAMAが最初に登場したときのフレッシュさは、会場の空気を奪われる要因になりかねない。とはいえ、そんな目論見がそう易々と叶うものだろうか……。 ・崇勲、あれから約6年ーー“かわいい担当”の実力はなお健在 続いての対戦カードは、TEAM埼玉(K-rush×TKda黒ぶち×崇勲×晋平太)v.s. TEAM神奈川(FORK×句潤×SANTAWORLDVIEW×輪入道)。各チームに助っ人として晋平太、輪入道が加わったことでますます、以前にも記した“事実上の決勝”感が強まった。“本当に誰が勝てるんだ?”と思える夢のラインナップだが、このうちどちらかが2回戦で敗退してしまうことが、この上なく惜しい。 バトルの結果は順に、崇勲 v.s. SANTAWORLDVIEW(5-0)、崇勲 v.s. 句潤(5-0)、K-rush v.s. 句潤(4-1)に。なかでも本稿で紹介したいのが、崇勲 v.s. 句潤による第2ラウンド。崇勲はかつて『フリースタイルダンジョン』にてpeko(梅田サイファー)と対戦した際、自身の存在を同番組の“かわいい担当”だと自称していたが、あれから約6年が経ったいまなお、その役割は健在だと思わされる内容だった。まぁ、色々な意味で……。 崇勲:確かに良いよね セオリー CELORYさんのマジ ビート操り方なら良いけど CELORY 確かセロリが嫌い あ 違う違う違う CELORYさんの事じゃない食べ物の話 ヤバい事になっちまった ごめんな句潤 句潤:大丈夫 受け取ってちゃんとバースかませるのが045 I’m a 句潤だ Represent 皆も目 点になってくれ/ディスでもなくリスペクト送って 俺の一部になってくれよ 神奈川軍 崇勲:一部になる事はない 地図はどんどん広がってるし チーズみたいにクセのあるMCsがいるんだ 埼玉にはさ ここから巻き返していくにはどうすればいいんだ 教えてくれ句潤 句潤:そろそろ下がっといていいっす 崇熱もういらないっす 埼玉4人の並べてやるよ 函首っす まぁ、色々な意味で……というのは、崇勲がバトル中、自身の放った言葉に〈あ違う違う違う〉と空回りし、ときたま無言で自身の言葉を反芻する場面があったから。たしかに、DJを務める“CELOEY”ことDJ CELORYと野菜の“セロリ”は、オンエアで文字起こしされた状態を見れば、どちらのことを指しているのか違いがわかる。ただ、字幕なし、その場で即時的にラップを聴いた身になれば、もしかすると“DJ CELORYのことが嫌いなのか……?”と思われてしまう可能性も危惧される。 崇勲がそのあたりを意識していたのは、さすがベテランMCだと言わんばかりだが、結果的にこのフォローで頭が真っ白になり、無言で考える時間が流れる場面も。『フリースタイルダンジョン』に初登場した際、自身の両親である〈たかこにひろし〉を〈たかしとひろし〉と言い間違えたときや、ラスボス・般若戦で熱くなりすぎたときもたびたびフリーズをしていたが、それを再び観られるとは。自身のバース後は、そのまま収集つけず、句潤にマイクパス。苦笑いの句潤が“お役御免”だと片付けて、彼の勝利となった。 ちなみに訂正する必要もないのだが、実は食べ物の方のセロリも嫌いではないらしい。最後まで“どっちなんだ!”とツッコミを入れたくなる内容だったが、崇勲のぽむぽむ感あるキャラクターもあって微笑ましくなってしまう、“らしさ”溢れるバトルとなった。 次週はいよいよ、TEAM神奈川よりFORKが登場。かつて『フリースタイルダンジョン』でモンスターを務めたときのように、〈姓はICE BAHN 名はFORKだ〉と、〈20年かけてやっと手に入れた鉄板のご挨拶〉にはじまり、〈俺が勝ってまた深夜2時になるぜ〉の言葉通りな展開を目撃できるのか。まだ2回戦ながら、必殺仕事人の初陣に期待感がマックスに達してしまっている。
一条皓太