映画業界も驚いた!ホラー映画「あのコはだぁれ?」若者にヒットの裏側。おばけ屋敷のような「絶叫上映」も
動員も好調であるため、ファーストランを終えた8月30日以降も、継続して同作の上映を希望した劇場が222館、ほとんどの劇場が続映に名乗りを上げている。 しかも上映時間を早朝ではなく、午後帯、夜帯、レイトショーなど比較的観やすい時間帯で組んでいる劇場も多い。 ■学生たちがこぞって映画を見る 公開初日から劇場には小学生・中学生・高校生のグループ客、カップルなどをはじめとした10代、20代の若者層がこぞって来場。映画製作者連盟が発表した昨年(令和5年)の映画入場料の平均客単価は1424円だったが、同作の客単価は1174円とかなり低めの数値だ。
現在、ほとんどの映画館の小中高生の学生料金が1000円ということで、この数字からも、学生をはじめとした若者が劇場に足を運んだことが裏付けられる。 まさに夏映画の意外な伏兵として数字を積み重ねた『あのコはだぁれ?』だが、同作の宣伝プロデューサーを務める山崎栞氏も「本作は若者向けの宣伝を意識した」と狙いを明かす。 宣伝のコンセプトは「夏休みに友人グループとお化け屋敷感覚で来場できる映画」ということで、若者層を宣伝のターゲットにすることは最初から決まっていた。
キャッチコピーも「見つかったら殺される」「この教室にはいないはずの生徒がいる」「7.19みいつけた」など、“あのコ”から逃げられるかといった、校内で鬼ごっこをするようなゲーム感覚で楽しんでもらうべく、ひねらずに、内容がストレートに伝わるようなコピーが選ばれた。 さらにプロモーション期間中のテレビ出演時や、メディア向けのインタビューなどでは、主演の渋谷には「わたしが出ているので観てください」ではなく、「スクリーンの中のわたしも怖がっているので、皆さんも一緒に怖がってください」といった具合に話すようにリクエストするなど、“観客との共感性”を前面に打ち出した。
キャラクターよりも作品の内容を前面に押し出す宣伝方針ではあったが、渋谷が所属する事務所サイドもそのコンセプトを理解し、かつ協力的だったという。 ■絶叫上映は、まるでおばけ屋敷のよう さらに劇中に登場する“あのコ”がスクリーンを飛び出し、実際に劇場内をうろつきまわる“絶叫上映”も札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の劇場で実施された(“絶叫上映”は複数回にわたって実施され、初回は宮城と広島の劇場でも行われた)。