世界マスターズ陸上の三段跳びで金メダルを獲得した中沢学さん＝スウェーデン・イエーテボリ（本人提供）

　スウェーデン・イエーテボリで8月に開催された世界マスターズ陸上競技選手権大会の三段跳びM60（男子60～64歳）クラスで、元浜松市職員の中沢学さん（60）＝浜名区根堅＝が金メダルを獲得した。初の世界大会挑戦での快挙に「懸ける思いは強かった。優勝できて良かったが、さらなる記録達成を狙いたい」と先を見据える。9月の国内大会でも同クラスの三段跳び、走り幅跳びで頂点に立ち、走り幅跳びでは日本記録を打ち立てた。 　「かなり調子がいい状態で迎えられた」という世界マスターズでは2冠を目指した。だが最初に出場した走り幅跳びの競技開始直後に足を負傷。3位に1センチ届かず4位となり、表彰台を逃した。4日後の三段跳びでも足の違和感はあったが「悪化する前に力を出し切る」と臨んだ1本目で12メートル05の好記録。そのまま優勝し「緊張や興奮がちょうど良い感じで合わさり、ゾーンに入れたのかもしれない」と笑顔で振り返った。 ■国内では走り幅跳びとの2冠、日本新記録も 　京都府で行われた全日本マスターズM60クラスでは、三段跳びで11メートル95の大会新、走り幅跳びで5メートル69の日本新を出し、2冠を達成した。 　3月末で市職員を早期退職した中沢さん。マスターズは5歳刻みでクラスが変わる。「ちょうど60歳の有利なタイミングで開催される世界大会。全力で挑戦したかった」と語る。週5日間ほど、四ツ池公園や船明ダム運動公園で練習に励む。「年齢に合わせた効率の良いトレーニングが大事。はり治療など体のケアに充てる時間を確保できたことが大きい」とする。 　学生時代に陸上を始めたが、けがに悩まされて大学後に一度引退。30歳ごろに競技を再開した。M50、M55の両クラスで三段跳び、走り幅跳びの日本記録を保持する。今後はM60クラスでの走り幅跳び世界記録や、三段跳び日本記録の樹立を目標に掲げる。「体が動く限り、記録にこだわって挑戦し続けたい」と気力は衰えない。