美しい紅葉はそろそろ見納め!? 昔の日記や歌集の「紅葉」の時期を調べてわかったこと
室町時代は今よりもっと「暖かかった」!?
猛暑の影響で紅葉が遅れている今年の秋。今のように温暖化にはなっていなかったであろう昔は、いったいいつごろ紅葉が見ごろになったのだろう。 【絶景!】美しすぎる…! 関東近郊「紅葉の名所」の見ごろは… 「室町時代、15世紀前半の京都での紅葉の見ごろは11月下旬から12月上旬だったようです」 こう言うのは、大阪公立大学の青野靖之准教授。「草根集」「実隆公記」など、京都付近で記された昔の日記や歌集などを調べると、京都の紅葉が盛りだった時期がわかるのだという。 桜は2月1日からの平均気温の合計が400℃になったら開花すると言われる。それと同じように、青野准教授の研究によると、9月30日以後の平均気温が25.1℃より低くなった日における、平均気温と25.1℃との差の合計が546.6℃になった数値をもとに計算すると紅葉の見ごろがわかるのだとか。 これを逆算すれば、紅葉の盛りの日”紅葉日”から、10月の平均気温を推定することができる。そうして計算すると、 「15世紀前半は比較的暖かかったと推定されます」 そのため、紅葉の見ごろが今と同じような時期になったらしい。 ところが、15世紀後半になると、紅葉日は11月中旬になることが多くなることから、10月の平均気温は14℃と推定される。ちなみに’22年の京都の10月の平均気温は18.1℃。急激に寒くなったのだ。 「それが16世紀には16℃くらいになります。17世紀はデータが少なくて推定できませんでしたが、18世紀にも16℃くらいで、1820~1830年代には14℃くらいに下がる。それ以降は現在までジワーッと上がり続けています」 昔の気候は穀物の収穫量などで半年単位ぐらいでは解明されているけれど、月単位ではわかっていない。古記録をもとに、桜の開花時期から3月の平均気温を、紅葉日から10月の平均気温をと、昔の気温を月単位で解明していこうというのが青野准教授の研究だ。 ◆実は、太陽活動の影響で200年に一度の寒い時期が到来!? 気温が急激に下がった1820~1830年代の期間は、古記録によると11月上旬が紅葉日になっている年が多い。「天保の大飢饉」が起こったのも、この期間だ。 「1820~1830年は、とくにアジア地域で寒かったという記録があります。アジア地域は太陽活動の影響を受けやすく、この時期は太陽活動が不活発だった。気温が低くなったのは、そのせいだろうと考えています」 青野准教授の研究によって、太陽活動が不活発な時期は気温がどのくらい下がるかわかったわけだ。