【実話】「林業をやりたい」→木材屋に相談。筋違いな話だが…覚えておくべき“地方での人脈作り”の成功法(年商2億円・地方起業家の助言)
「地方には仕事がないはウソ」──そう語るのは、出身は岐阜県だが、高知県で全財産50万円を投じて起業し、年商2億円まで成長させた起業家、坂元陽祐氏。本連載は、坂元氏の著書『まったく新しい「地方で起業して成功と自由を手に入れる」方法』(春陽堂書店)より、地方での起業の可能性について、一部抜粋して紹介します。 都道府県「公務員の定年退職金」ランキング…<2022年・一般行政職>
まずは自治体の呼びかけに乗っかってしまえばいい
全国の自治体が、東京の一等地で高い家賃を払ってアンテナショップを開いている目的の一つは、地元で働いてくれる人材を集めることである。 2023年現在の日本で、人手不足は全国的な現象だ。大都市でも、「人手が足りない」 といわれている。地方ではどんなに大変か、想像がつくだろう。だから、各自治体は真剣に移住や就労、場合によっては起業を呼びかけている。あなたの住みたいと思った土地も例外ではないはず。基本的には、これに乗っかってしまえばいい。 そういうと、「そんなにうまくいくか?」という疑問を持たれると思う。 確かに、「相談に行ってみたけど、自分に合う仕事がなかった」みたいな話はしばしば聞く。本当に人を呼びたいのか? と思わせるくらい、「地方の人間関係の大変さ」などのネガティブな話ばかりを担当者から聞かされたという話も、真偽はわからないが耳にしたことがある。何事も一回でうまくいくとは限らない。 相談に行ったとしてもうまくいかない可能性は当然ある。それも想定しておくことはもちろん必要だ。試行錯誤が成功への道なのだから。 相談してみて、合わないとか不親切だなと感じたら別の候補地を当たればいい。別の機会にもう1回相談してみたら、感じのいい担当者に当たるかもしれない。 こうした試行錯誤の重要性を強調したうえで、移住相談を上手に活用するためのコツも紹介しておこう。 このコツを押さえておくだけで、相談の成果が驚くほどアップする。しかも、全然難しいことではない。そのコツとは何か。
“木材屋”に「林業」の相談をした林業志望者
最近体験した、あるエピソードを紹介するのがわかりやすいと思う。その日僕は、大阪で開催される高知就職・転職フェアに参加していた。高知県が大都市からの移住・転職者を呼び込むためのイベントで、地元企業の一つとしてブース出展していたのである。資本金50万円で、事業計画書もなしに始めた会社が今や「高知代表」のような顔をしていると思うと、われながら不思議な気がする。 隣のブースには、県内でも有数の木材屋が入っていた。ちょっと暇になった時間に、隣に来た相談者の話をさりげなく聞いていると、どうやらその人はもともと高知の人らしい。Uターン組である。 「高知に帰って、林業をやりたいんです」などと言っている。それを聞いて、僕は「おいおい」と苦笑してしまった。木材屋は木を扱うわけだし、もちろん林業との関連はある。 しかし、当たり前だが、林業とは別の仕事だ。林業をやりたい人が、就職・転職フェアで材木屋に相談するのは筋違いだ。迷惑なんじゃないだろうか? こういうのが合理的な、いわば都市のビジネスパーソン的な発想である。 しかし、世の中はそういう思考様式、行動様式の人ばかりではない。相談された木材屋の担当者は、迷惑がるどころか、「あ、それなら」と、当たり前のように説明を始めた。高知の林業事務所では人材育成に力を入れているから、無料で技術を学んで資格もとれる制度がある。まずはただで勉強して資格もとって、先のことはそれから考えればいいんじゃないですかと話していた。相談した人は、教えてもらったとおりに県の林業事務所に連絡すればただで勉強ができる。 しかし、そこで学びながら地場のつながり、業界内のつながりをつくることができるだろう。あとはその流れに乗っていけば、希望どおりに仕事に就ける。 木材屋は林業志望の人にアドバイスをしてもメリットはない。しかし、地方の人というのは教えたがりである。なおかつ、地方には濃密な人間関係がある。木材屋なら、林業関係者の知り合いも多いのは当然だろう。