続きが気になりすぎる終わり方で後章も鑑賞確定『デデデデ 前章』など週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、浅野いにお原作のディストピア青春譚の前章、復讐のループに囚われた青年の物語、太陽系が消滅する危機を前に人類の命運を懸けた戦いを描くSFシリーズ第2弾の、ドキドキする3本。 【写真を見る】巨大な宇宙船がもたらした異常事態はいつしか日常に溶け込んでゆく(『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』) ■独特の世界へと引き込んでくれる…『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』(公開中) 「ソラニン」などの作品で知られる“浅野いにお”が、2014年からビッグコミックスピリッツで連載した同名コミックのアニメ映画化。巨大な母艦が現れてから3年、母艦のある風景が日常となった東京で、主人公の女子高生たちは卒業を目前に青春を謳歌していた。日常系青春群像劇のなかにSF展開がちょくちょく差し込まれ、それがどんどん大きくなっていくという展開。 YOASOBIの幾田りら、あのが、主人公の女子高生たちを演じ、主題歌「絶絶絶絶対聖域 ano feat. 幾田りら」を担当していることも話題だ。にじみ出るサブカル感が作品性ともマッチし、独特の世界へと引き込んでくれる。あのが演じる中川凰蘭の兄で肥満体型の中川ひろしを、諏訪部順一が担当するというギャップも絶妙。終盤SF展開が加速し続きが気になりすぎる終わり方で、後章も観に行くこと確定だ。また、劇中に登場する漫画の主人公デベ子の声を急逝したTARAKOが担当している。(映画ライター・榑林史章) ■面白すぎる若葉から、ますます目が離せない…『ペナルティループ』(公開中) 恋人を殺された男性が納得ゆくまで、犯人に復讐できるループ。執行日の6月6日を何度もやり直す主人公に若葉竜也。標的となる殺人犯に伊勢谷友介。同じシチュエーションが繰り返され、内容が少しずつ変わっていくバタフライ・エフェクト的な展開はかなりゲーム要素の高いシチュエーションと言える。それでいて、登場人物たちの息遣いや鼓動、体温までもがしっかり伝わってくるような生々しさ。 エンタテインメント性の高い設定でありながら、いつしか「復讐とは?死とは?刑とは?」と考えずにはいられない。次第に関係性にも変化が訪れる復讐する者と復讐される者。それでもループは止まらない。軽い気持ちで開けた扉が思わぬところにまで続いていて、笑ったり、泣けたり。若葉は荒木伸二監督と脚本について、1年ぐらい話したそう。伊勢谷のキャスティングといい、かなりの尖り方。主演2作目にこの作品を持ってくるとは。面白すぎる若葉から、ますます目が離せない。(映画ライター・高山亜紀) ■複数の人間ドラマに心くすぐられる…『流転の地球 ―太陽系脱出計画―』(公開中) 話題の「三体」の原作者、劉慈欣(リウ・ツーシン)による短編小説を、173分という尺的にも壮大なスケールで映画化。もちろん映像のスケール感も圧倒的なので、長尺も見飽きない。未来に起こり得る“太陽系消滅”に備え、各国の思惑が錯綜するなか、人類を救うべく前代未聞の巨大プロジェクトが始まる―。なんと、その方法というのが“地球を太陽系から離脱させる”という、“ちょっとなに言ってんのか分からないですね”というもの。だが、とてつもない計画だということは誰しもが分かるハズ。むしろ、その程度の知識の方が楽しめるかも。 迫力の映像&音響シャワーを目や耳に浴びながら、ウー・ジン演じる宇宙飛行士の恋~結婚~悲劇を胸に宇宙へ旅立つヒロイズム、事故死した娘を蘇らせようとする量子科学者(アンディ・ラウ)の思いなど、複数の人間ドラマに心くすぐられる。この人(作者)、本当に宇宙が好き&詳しいのね…と感心しつつ、既に中国がハリウッドに匹敵する技術や規模のパニック超大作を作っていると改めて実感させられる。前作を未見でも全く問題ないが、実はこれ、シリーズ2作目にしてエピソード0にあたるという。監督は前作も手掛けたグオ・ファン。(映画ライター・折田千鶴子) 映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。 構成/サンクレイオ翼
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