福島県大熊町に生成AI開発拠点 AI福島がデータセンター開設
生成人工知能(AI)の開発に取り組むRUTILEA(ルティリア、京都市)の100%子会社「AI福島」は、福島県大熊町下野上地区の特定復興再生拠点区域(復興拠点)に、生成AIの開発拠点となる「データセンター」を開設した。米半導体大手エヌビディアの生成AI向け先端半導体やサーバーを保有し、国内外の企業などに最先端の開発環境を提供する。生成AIを活用した産業発展を図り、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの町の復興につなげる。 生成AIは世界中で開発競争が激化し、海外勢が先を行っている。AI福島はセンター開設でAI関連サービスを展開する企業などを集め、国内の生成AIの精度向上にもつなげたい考えだ。町を起点とした新産業の創出、AI関連企業の集積が期待される。 センターは約千平方メートルの敷地に1号棟として新設した。総事業費は約20億円で国の補助金を活用。エヌビディアの最新の画像処理半導体(GPU)「H100」を約350個保有し、AIサーバーを運用する。AI福島と契約した企業などがサーバーにアクセスし、生成AIの開発を進める。
近くの約2千平方メートルの敷地に2号棟を建設している。スーパーコンピューターより高い演算能力を持つとされるGPU「H200」を約670個備える。総事業費は約50億円で、12月末の完成を予定。1、2号棟合わせてエヌビディア製GPUの保有数は約1020個となり、国内最大級となる見込み。1、2号棟の警備などで10人ほどの地元雇用を計画している。 18日に1号棟の竣工(しゅんこう)式が現地で行われ、AI福島の矢野貴文社長が「町に新たな可能性をもたらしたい」と決意を述べた。吉田淳町長らが祝辞を述べ、関係者がテープカットした。 ルティリアは2018年8月に設立。開発した生成AIは、国内の製造業などの現場に導入され、業務の効率化に活用されている。