米国務長官から面前で激怒された駐米大使も…その役割とは? 中台も関係構築に腐心、経験者「人間関係が仕事の8割」【ワシントン報告(12)駐米大使】
オーストリアは大国ではないにしても、欧州連合(EU)のメンバーで、永世中立国として複数の国際機関が拠点を置く。そうした国際的に知られた国であっても、米国との関係構築は大使にとって簡単なことではないようだ。 ▽冷淡な扱い 各国の駐米大使に関する米メディアの報道は少ないが、台湾の大使に当たる台北駐米経済文化代表処代表を務めた蕭美琴氏は例外だった。 神戸生まれの女性で英語は堪能。米国人脈は深く、ニューヨーク・タイムズ紙は「最も影響力のある大使の一人」と評した。何度か個人的に話したこともあるが、確かに人当たりがいい。 中国への配慮から、米国は台湾に外交儀礼上の制約を課してきたが、蕭氏にはホワイトハウスへの出入りも認めたという。2024年1月の総統選で与党民主進歩党(民進党)の副総統候補に決まり、米国を後にした。 一方、中国の駐米大使から2022年、外相に転じた秦剛氏はバイデン政権から冷淡な扱いを受けたと報じられた。貿易戦争を引き起こしたトランプ前大統領ほどではないが、バイデン大統領も中国に対する態度は厳しい。秦氏は昨年6月に動静不明となり、翌7月に解任された。
日本の山田重夫大使が昨年12月に着任した。今秋の大統領選とその後の政権との関係構築など課題は多い。