保育士の負担軽減、カメラで映像解析　駅部田町の私立園で

　安心にお昼寝を――。三重県松阪市は今秋、市内の私立小規模保育事業所1園で、AIによる午睡監視システムを試行導入する。保育士の負担軽減や保育施設の安全性向上などを検証する。公益財団法人原田積善会の補助を受けたリケナリシス㈱（東京都、大関敏之代表取締役）とパインワークス（酒井由美代表）の提案で、両者と市が連携して実施する。9月に協定を結び、11月ごろから導入する予定。同システムの導入は県内初。 　市内の保育施設では、乳児（0～2歳）の午睡（お昼寝）中、保育士が園児の年齢に応じて5～10分間隔で呼吸や姿勢、顔色などを確認、記録し、うつぶせ寝による窒息などの防止に努めている。 　今回、市に対して理化学研究所の脳科学者らで設立された理研ベンチャーで、AI技術を活用し保育士不足などの課題に取り組む同社と、市内で女性の子育て支援を目的にソーシャルビジネスを展開するパインワークスは、公民連携窓口を通じ原田積善会の補助を受け、同システムの導入を提案。乳児を受け入れている駅部田町の私立ちいさな保育園に、市が工事費10万円を負担し、システム機器を設置することにした。 　天井に取り付けたカメラと映像解析装置、保育士が使うタブレットで構成する同社の「AI午睡見守りサービスシステム」の費用45万円は原田積善会が補助する。 　これにより現在、保育士が目視で記録している乳児の午睡をAIがうつぶせ寝の状況把握や午睡の記録を自動的に行うことで、保育士の負担軽減や人が見落としてしまう状況を未然に防止でき、保育施設の安全性の向上が期待できるという。 　システムの導入は11月ごろを予定。市は9月の一般会計補正予算案に設置費として10万円を計上。うち6万6千円は国の補助金を使う。 　市こども未来課は、導入後は実際の保育士の声や負担軽減への効果などを園長会などで伝えるなど情報を共有していくとし、「システムが保育士の補助をする効果など、経過を見ながら保育士の負担軽減につながれば」と話している。