刑務所アイドルPaix²(ぺぺ)が、経済的に苦しくても、恋も遊びも華も捨てて活動を続けた理由「出所後にもがきながら頑張っている元受刑者がいることを伝えたい」
刑務所アイドル#2
プリズンコンサートの常連で、受刑者たちのアイドル的存在として活動する音楽ユニット「Paix²(ぺぺ)」。しかし、今のように安定的に活動するまでには、多くの苦労や困難があった。それでも“めげず”に続けてこれたのはなぜか。Paix²の活動を通して、伝えたいことは何か。Paix²のメンバーであるまなみさんとめぐみさんに聞いた。(前後編の後編) 【画像】横浜刑務所で多くの受刑者の前でコンサートするPaix²(ぺぺ)
恋も遊びも華も捨ててPaix²の活動を続けた理由
──活動を続けていくなかで苦労したことや大変だったことは何ですか? まなみ 経済的なやりくりは大変な部分もありましたが、ファンの方の中にお米を生産されている方が何人かいて、お米には困らなかったですね(笑)。 また活動を始めた頃は、鳥取と東京の間なら、高速道路を使わずに下道を使って移動していました。当時は夜22時以降になるとバイパスが無料になったので、それをうまく活用しながら交通費の節約を行なっていました。 プリズンコンサートで交通費や宿泊費の補助が出るようになったのは、2015年くらいなので、それまではお金を何とか工面しながら活動を行っていました。一時、本当に辛くなって辞めたいと思ったこともあります。 そこでマネージャーに相談し、1か月ほど実家で休暇をいただいたんですね。でも、いろいろと思い返すなかで、やっぱりステージで歌うことが好きなんだと。普通のライブとは違うプリズンコンサートだからこそ、そこには何モノにも変え難い「やりがい」がある。 そう再認識したこともあって、Paix²での活動を続けることになりました。 めぐみ 私たちは鳥取出身なので、宿泊費を少しでも浮かすために実家を拠点にしながらライブ活動もしていました。また、私の場合は出費を極力減らすために、ランチや飲み会といった交友関係もあまり持たず、ひとりで過ごすことを意識していたんです。 今よりも若かったので、恋したい、遊びたい、華やかに過ごしたいといった願望もありましたが、そんな欲は全部捨て去るように心がけました。先ほどもお話したように、学びを深めていくことに集中したかったので、辛いとか苦しいとか、そういう気持ちにはなりませんでした。とにかく結果を出したかったんですよ。 「カツカツでやるしかないのは、実力がないから」と捉えられた分、悲観的にならずに現状を前向きに考えることができたわけです。 プリズンコンサートを続けていくと、さまざまな“出会い”があります。受刑者の方はもちろん、社会復帰した出所者の方や周りで応援してくれる方、メディアに出たことでPaix²のことを知ってくれた方など、毎年いろんな出会いがあるからこそ、とにかく学ぶことが多くて。それがあって、Paix²の活動を辞めずに続けてこれているんだと思います。