【糖尿病に効果的な運動と治療】タイプによって糖尿病は様々ある 「隠れ糖尿病」を示す血糖値スパイクのメカニズムとは【医師が解説】
なぜ日本人は太っていないのに糖尿病を発症するのか。健診や人間ドックでは見つかりにくい血糖値スパイクの有無は、どうすればわかるのか──。シリーズ「名医が教える生活習慣病対策」、東京慈恵会医科大学附属病院糖尿病・代謝・内分泌内科・西村理明教授が解説する。【糖尿病に効果的な運動と治療・前編】 【表】空腹時血糖値の判定基準
日本人に多い2型糖尿病は太っていないのに発症する
人間が活動する際に必要なエネルギーは、その大半を食事から摂ります。食事で摂取されたエネルギー源(ブドウ糖)は、腸から吸収され血液とともに全身をめぐり、その後エネルギーとして利用するためには細胞に取り込まれる必要があります。この時に活躍するのがすい臓にあるβ細胞から分泌されるホルモン「インスリン」です。血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませ、食後に上昇した血糖値を下げる働きをしています。糖尿病は、この仕組みがうまく働かなくなり、血糖値の高い状態が慢性的に続き、全身の血管がダメージを受けて様々な合併症がおこる病気です。 糖尿病には1型と2型があります。1型糖尿病は、すい臓のβ細胞が自己免疫疾患などで障害され、インスリンがほとんど分泌されない病気です。治療にはインスリン製剤の補充が欠かせません。世界的にみると、糖尿病患者全体の約5%が1型糖尿病とされています。 一方、患者数が圧倒的に多いのは2型糖尿病です。2型糖尿病にもいくつかタイプがあり、その1つが肥満を伴うものです。 肥満の人が暴飲暴食をすると食後血糖が急上昇するため、すい臓は肥満した大きなからだ全体に合わせて大量のインスリンを分泌します。この状態が続くとすい臓が疲れてインスリンの分泌量が減り、血糖値が下がりにくくなり、結果としてインスリンが効きづらくなります。このように慢性化して血糖値が下がらなくなるのが2型糖尿病です。いわゆる「メタボリックシンドロームタイプ」の糖尿病で、欧米の2型糖尿病患者のほとんどがこのタイプです。 日本人やアジア人に多い2型糖尿病はタイプが違い、太っていないのに発症します。このタイプの糖尿病患者は元々インスリンの分泌が少なく、しかも食後すぐに分泌されず、そのタイミングが少し遅れてしまう。その結果として高血糖を起こしやすくなるのです。このタイプの糖尿病患者はメタボタイプとは違い、太っていない人が多く、すい臓からインスリンを出す力がやや弱い傾向があります。
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