『新宿野戦病院』『地面師たち』で全くの別人に “多面性”を見事に表現する小池栄子の実力
小池栄子の豊かな表情が生む『新宿野戦病院』ヨウコの“憎めない魅力”
地面師グループの中に戻れば、魔法が解かれたように横暴な女に戻る稲葉。場所にあわせて自分のキャラを180度を変える演技力・適応力は、小池のカメレオン俳優としての確かな実力があってこそ。むしろ、小池演じる稲葉こそが“ベストキャスティング”だったともいえるだろう。 ヨウコにもそういうところがある。8月14日に放送された第7話で、ヨウコは啓介(柄本明)に教えられながら死亡確認の場に立ち会った。初めてのことにおどおどしていたヨウコ。そんな姿も、患者の前で見せるキリッとした姿も、同僚たちの前で見せるふてぶてしい姿もすべてヨウコの一面である。小池は、1人の中にある多面性を自然に表現してくれる。だから、いろいろな表情があるヨウコのことは憎めないし、「次は何をしてくれるんだろう」と期待をしてしまう。 聖まごころ病院には今日もいわくつきの人がやってくる。勤めている職員にもいろいろな事情があり、実は日本の医師免許は持っていないヨウコにもこの先、乗り越えなければならない壁が待っていることだろう。
久保田ひかる