【目前】手作りの漬物が消滅の危機? 6月から許可制に 79歳のベテランは販売を断念 県内の漬物製造4461件→許可を取ったのは674件のみ 福岡
79歳のベテランは販売を断念
手間ひまかけて作る漬物を喜んで食べてくれることが生きがいだったという中尾さん。しかし、漬物製造を続けるための新たな設備を導入する費用が高く、また年齢のことも考え廃業を決めました。 現在は自宅用などで少量だけ漬けています。 「少しだけど収入があるし、知り合いは増えるし、楽しかったですね。残念です。」
糸島市にある産直市場でも、これまで40人ほどいた生産者が6月からは半分ほどに減ります。 ■伊都菜彩・波多江和也 店長 「昔ながらの味がなくなるのはさみしい気持ち。今まで通り(漬物を)出していただければという思いでいるが、なかなかそうはいかない。」
そうしたなかで、続ける選択をした人もいます。柴田絹代さん、69歳です。 たくあんのぬか漬けや、高菜漬けを作っていて、50年以上にわたって受け継がれてきた漬物は、柴田家自慢の味です。 ■漬物生産者・柴田絹代さん (Q.来月以降どうする?) 「保健所の許可も得ましたので、まだ続けていこうかなと思っている。生活しないといけないでしょ。できる範囲で続けたい。」
営業許可を得るために1層式のシンクから2層式に改装し、食材を扱うものと食器や手を洗うもので使い分けるように変えました。 また、水道もセンサー式に改装しました。 ■柴田さん 「やっぱりお漬物しかないかなと思って。もうこれしかない。やっていこうと思うしかないよね。」 おばあちゃんの味として親しまれてきた手作りの漬物。伝統を途絶えさせないための支援策が今、求められます。
福岡県内の漬物製造についてまとめました。 漬物を製造していることを届け出ているのは4461件。そのうち、営業許可を取っているのは、わずか674件となっています。 漬物を製造する生産者が減少する中、漬物文化を絶やさないために、支援に乗り出したところもあります。
まずは福岡県です。4月から農家がグループで製造し、共同で設備を使う場合は、設備投資に最大で150万円の補助金を支給しています。 これまでのところ10件以上の利用希望があり、現在、要件を満たすかどうか確認中だということです。 また、筑前町にある直売所「ファーマーズマーケットみなみの里」では、直売所のスタッフが漬物を作っている高齢者の相談にのり、必要な設備を紹介するなどの取り組みをしています。必要な場合は行政への提出書類の作成をサポートするということです。