米国オフィス市場のスランプは2024年に一層強まるか
不動産不況は、銀行にも打撃
不動産不況は、銀行にも打撃を与えつつある。データ会社トレップによると、商業用不動産ローン担保証券の裏付けローンや銀行融資の延滞率は、現在6%を超えている。コロナ前は1%を下回っていた。 同社は、2024年後半までに、オフィスのローン滞納率が8%を超えると予想している。これは、銀行の不良債権の増加、与信コストの増加をもたらし、現在見られている銀行の貸出抑制傾向を加速させる可能性がある。それは、景気の減速を後押しするだろう。 中国と同様に米国でも、不動産市場の調整、景気の減速、金融システムの不安定化の3者が相乗的に進んでいくリスクが、2024年には高まるのではないか。 (参考資料) ”The Office Market Had It Hard in 2023. Next Year Looks Worse(米オフィス市場の苦境、2024年は一層深刻に)", Wall Street Journal, December 21, 2023 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
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