日韓戦「敗因」は「主力」温存、「守備」ミスにあらず【アジア杯GL3戦で分かったU-23代表「パリ五輪出場」への大問題】(1)
サッカーU-23日本代表が、パリ・オリンピック出場権をかけた熾烈な戦いを、カタールの地で続けている。U23アジアカップでは、グループリーグ2戦目で決勝トーナメント進出を決めるも、グループ最終戦でライバル・韓国代表に0-1で敗れた。この「日韓戦」他、グループリーグ3試合から分かった、若きサムライブルーたちの「現在の実力」と「今後の課題」を、サッカージャーナリスト後藤健生が徹底検証する。 ■【画像】「大外の韓国選手、どフリーだから(怒)」アジアカップ日韓戦75分の完璧ヘッド!
■日韓戦は両チーム「ターンオーバー」の戦いに
カタールで開催されているAFC U23アジアカップ(兼パリ・オリンピック予選)。大岩剛監督率いるU-23日本代表は、グループリーグ3戦目で韓国代表に敗れて2位通過となり、準々決勝で開催国カタールと戦うことが決まった。 「日韓戦」は両チームともにターンオーバーを使った戦いだった。 すでに両チームともに2連勝でグループリーグ突破を決めており、パリ・オリンピック出場権を獲得するために最も重要な準々決勝と準決勝の2試合を万全の状態で戦うため、主力を酷使することだけは避けたかったのだ。 なにしろ、準々決勝では、A組のカタールとインドネシアは中3日、B組の日本と韓国は中2日での戦いとなるのだ(これはどう考えてもレギュレーションがおかしい。強行日程で行われる大会なのだから、休養日の公平性を確保するためにA組とB組、C組とD組は同日開催とすべきだ)。 韓国は初戦のUAE(アラブ首長国連邦)戦と中国戦はほとんど同じメンバーで戦ってきたので、日本戦では中国戦から先発9人を変えてきた。一方、2戦目のUAE戦でも初戦からメンバーを7人変えて戦った日本は、再び構成を大きく変えた。そして、2戦目まで出場機会のなかった半田陸や田中聡、そしてGKの野澤大志ブランドンにも出場機会が与えられた。これで、登録23人のうち第3GKの山田大樹を除いて全員がピッチに立ったことになる。
■62分投入の松木玖生が「必殺のスルーパス」
こうして、日韓戦は両チームとも慎重な、そして、おとなしい展開で始まった。 韓国はスリーバック。いや、両ウィングバックも下がって5人のラインで日本の攻撃を迎え撃つ。日本は、平河悠と内野貴史の左サイドを使って攻撃するものの、人数をかけて守る韓国の守備を崩すことができない。だが、そこで無理をしてボランチやDFが攻撃参加していくこともない。 韓国はボールを奪ったら日本陣内深くにロングボールを蹴り込んで、トップの長身FWチョン・サンビンにボールを集めてカウンターを狙ってくる。日本にとっては韓国がパスをつないできてくれればやりやすいが、ロングボールで攻撃されるのが一番、嫌なやり方だ。 日本はボールを握る時間も長く、また、平河が切れ込んでからシュートを放ったり、右サイドで半田や藤尾翔太がパスを交換してペナルティーエリア内深くまで進入することはできたが、シュートは枠を捉えられず、前半はスコアレスのまま終了した。 しかし、後半に入ると、キックオフから日本が右サイドでつないで、いきなりビッグチャンスが訪れた。そして、その後、次第に当たりが激しくなり、両チームとも、より攻撃的に変化。互いに前からプレスをかけはじめて、ようやく日韓戦らしい雰囲気になってくる。 57分に韓国がチョン・サンビンのドリブルからホン・ユンサンが抜け出してチャンスを作ると、62分には日本ベンチも藤田譲瑠チマや松木玖生、佐藤恵允といった“主力組”を投入する。彼らの出場時間を「30分程度」に制限したのも、準々決勝以降を見据えてのことだ。 こうして日本が次第に攻撃力を上げていくが、韓国も右サイドのホン・シフが巧みにボールを持ち込んでチャンスを作り、日本ゴールを脅かす。 69分には、中盤で相手2人に囲まれた松木が持ちこたえただけでなく、相手を振り切ってすぐに内野航太郎への必殺のスルーパスを通して、その能力の高さを見せつけた。 しかし、75分。韓国が右サイドからのCKから、ファーサイドのキム・ミヌが日本DFのマークを外してヘディング・シュートを決め、その後の日本の猛攻をしのぎ切って勝利をつかみ取った。
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