「がんばっていきまっしょい」櫻木優平監督が明かすボートシーンの制作秘話 実体験を通じて疾走感にこだわり
10月25日に全国公開される劇場アニメ「がんばっていきまっしょい」のボートシーンの制作秘話を、監督の櫻木優平が明かした。 原作は、1995年に「坊っちゃん文学賞」大賞を受賞した敷村良子氏の同名青春小説。自然豊かな愛媛・松山市を舞台に、ボート部に青春をかける女子高校生たちの成長や、心のゆらぎを瑞々しく描く。98年には実写映画化、05年には実写ドラマ化もされている。 劇場アニメ版は、挫折を経験し何ごとにも一生懸命になれない毎日を送っていた高校2年生の村上悦子(CV:雨宮天)が、転校生の高橋梨衣奈(通称:リー/高橋李依)に誘われたことをきっかけに、幼なじみの佐伯姫(ヒメ/伊藤美来)や、兵頭妙子(ダッコ/鬼頭明里)、井本真優美(イモッチ/長谷川育美)とともに、鮮やかな青い海にボートを浮かべ、ボート部としての活動をスタートさせる場面から始まる。 本作において、ボートが水上を走るシーンは3DCGアニメーションによって表現されている。その疾走感や湖面の揺れ具合などを再現するにあたっては、実際に櫻木監督がボートに乗る体験をしたという。監督はかねて、悦子たちが初めてボートをこぐシーンについて「下手な(初心者の)ボートの参考資料がなく、自分たちが乗った時の動画を参考にしました」と語っており、さらに「現役で活動されている方に前後に乗っていただき、高速で飛ばしていただいて、こんなにスピードがでるのかと驚きました」と実体験から得られた発見も明かした。 だが、ボートはまっすぐにしか進まないため、映像作品としては動きが地味に見えてしまうという課題もあった。櫻木監督は「基本的には同じような場所をこいでいる。リアルな速度でもそんなに速く見えないので、カメラワークでスピード感を演出したりと、舞台全体を動かす3Dならではの演出をしました」と工夫を明かし、「CGアニメーターの仕事って、作画アニメのなかのCGで派手に動かしたいカットだけが来るパターンが多いので、地味なシーンよりアクションシーンの方が得意っていう人が多いんですよ。なので今回、アクションシーンや派手にカメラが動くシーンなどは、ザックリこちらでレイアウト切ったあと、ある程度担当のCGアニメーターに任せました」と制作過程を振り返った。 前述のような取材を経て制作されたボートシーンから、新たな場面写真も公開された。青々とした海の上でオールを握りしめて真剣な表情を浮かべる悦子、水面に近いアングルから捉えた5人、オールの向きがバラバラで悪戦苦闘している様子がうかがえる放課後の練習風景、さらに新調したユニフォームで大会に挑まんとするボート部メンバーの姿などが切り取られている。