スペイン生まれのRV日産「ミストラル」が261万円~とコスパよくデビュー。が、ブームに乗れず短命で終了【今日は何の日?6月7日】
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日6月7日は、1990年代のRVブームのなか、日産自動車が欧州で人気の「テラノII」を輸入し、日本仕様に仕上げた「ミストラル」が誕生した日だ。当時人気だった三菱「パジェロ」やトヨタ「ランクル・プラド」に対抗するために投入されたのだ。 TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・日産ミストラルのすべて 日産・ミストラルの詳しい記事を見る
■パジェロやプラドに対抗し日産が放ったRVミストラル
1994(平成6)年6月7日、日産自動車のスペイン生産の輸入モデル「ミストラル」がデビューした。RVで後れを取っていた日産が、欧州で人気を獲得していたスペイン生産の「テラノII」を日本に輸入、ミストラルの車名でデビューさせた。
●RVブームに上手く乗れなかった日産の挽回策
1980年代後半、日産はハイソカーの頂点に君臨した「シーマ」が爆発的な人気を獲得するなどして好調を維持していた。ところが、1990年代に入るとバブル景気が崩壊し、市場は高級車志向から一気にRVへと流れを変えた。 三菱自動車「パジェロ」やトヨタ「ランドクルーザー」、「ランクル・プラド」、「ハイラックスサーフ」が市場を席巻。一方日産には「サファリ」と「テラノ」を投入した。サファリは、ランクルに対抗したが、1986年にデビューしたテラノは5人乗りだったこともあり、7人乗車を用意したパジェロやプラドには太刀打ちできなかった。 さらにバブル崩壊後に日産は、拡大路線の修正が上手くいかなかったこともあり、経営状況は逼迫した。そこで計画されたのが、新車開発ではなく、当時スペインのニッサン・モトール・イベリカ(NMISA)で生産していたSUV「テラノII」を輸入し、日本で販売することだったのだ。
●欧州市場で人気を獲得していたテラノII
テラノIIは、ニッサン・ヨーロピアン・テクノロジー・センター(NETC)が開発した欧州向オフロード4WDで、スペインのNMISAで1993年から生産が始まった。テラノIIは、ドイツや英国で大きなシェアを持つヨーロッパ・フォードにもOEM供給し欧州市場で大ヒット。ランドローバー「ディスカバリー」をも上回る販売実績を残していた テラノIIは、小型ピックアップ(D20)や初代テラノなどのシャシーをベースにしたラダーフレームを共用し、エンジンは2.4Lから3.0Lまでのガソリン&ディーゼルエンジンの多彩なラインナップを用意していた。 テラノIIをミストラルとして日本で販売するために、オーバーフェンダーやサイドステップの装着、エンジンとATのセッティング変更。装備の充実化などに1年以上の年月を費やした。結果として、日本への投入は欧州発売の約1年遅れの1994年のこの日となったのだ。
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