イスラエル軍の女性兵士たち、ガザ紛争で増す存在感
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【1月23日 AFP】イスラエル軍に所属するマロムさん(21)は、ここ2週間ほど駐屯しているパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)内で最初に戦闘任務に就いた女性兵士の一人だ。 今回のガザ紛争は、イスラエル軍内の女性兵士に対する態度を変化させた。女性兵士たちは軍規に従い、苗字を伏せてAFPの取材に応じた。 「ガザは全女性(兵士)にとって初の(戦闘)経験だった」とマロムさん。「私たちは変化を目の当たりにしている。若い女性の戦闘参加が受け入れられたと実感している」 10月7日にイスラム組織ハマス(Hamas)がイスラエルを奇襲する何か月も前から、ガザとの境界の監視所に配備された女性兵士たちが警告していたにもかかわらず、軍の上層部が無視していたとする報道があり、これを受けて怒りの声が広がっていた。 別の女性兵士エリオラさん(20)は、「とんでもないミスで、どうしてそうなったのか分からない」と語った。 だが、紛争開始から3か月以上が経ち、状況は大きく変わった。大隊長を担うシャナさん(23)は今回の紛争で、女性戦闘員も大きな役割を担えることが分かったと胸を張る。 「ヘルメットからポニーテールが出ていると、最初は(男性兵士から)少し奇妙な目で見られるが、結局大事なのは、私たちは戦う準備ができており、そのために訓練を積んできているということだ」 ■戦闘任務に就く女性増加 「ガザの民間人の安全はできる限り守りたいが、これは戦争だ」とマロムさん。 マロムさんが派遣されたガザ地区南部のハンユニス(Khan Yunis)では、女性兵士たちがハマスのトンネルを発見したと報告した。街は「破壊し尽くした」。 10月下旬にガザで地上作戦を開始して以来、イスラエル兵の死者は194人と報告されている。同軍によると、このうち女性は、10月7日にハマスに人質として拉致されたノア・マルシアノ(19)さん1人だ。ハマスは、マルシアノさんはイスラエルの攻撃で死亡したと主張している。 1948年の建国のために戦ったユダヤ人軍事組織ハガナー(Haganah)でも、女性は重要な役割を果たしていた。 現在の兵役は18歳からで、男性は2年8か月、女性は2年が義務付けられている。かつて女性は衛生兵や通信兵などに限られていたが、今では戦闘部隊も含め、ほぼすべての部隊に配属される可能性がある。 今回の紛争開始以前から、戦闘任務に就く女性新兵の数は増加していた。 シンクタンク「イスラエル民主主義研究所(Israel Democracy Institute)」がまとめたデータによると、戦闘任務に就く女性の数は2013~17年の間に3.5倍と急増した。 イスラエル国家安全保障研究所(INSS)は、22年の時点で戦闘部隊の兵士の17%を女性が占めていたとしている。 大隊に所属するマロムさんは、友人やその姉妹から兵役について尋ねられることが増えたという。「18歳になったら戦闘に参加したいと思う女性はさらに増えると思う」 一方でマロムさんは、紛争終結後の身の振り方については断言を避け、「わが軍がこの戦争に勝つ時──勝つのは必ずわが軍なのだが、それから人生計画を立てる時が来る」 と述べた。 映像は18日撮影。(c)AFPBB News