渋谷駅近くに店舗を構える「渋谷マムズタッチ」（外観）

　韓国のハンバーガー＆チキンブランド「MOM’S TOUCH（マムズタッチ）」の日本1号店「渋谷マムズタッチ」（渋谷区神南1）が4月16日、渋谷・公園通りにオープンする。経営はMOM'S TOUCH TOKYO（渋谷1）。（シブヤ経済新聞） 【写真】鶏もも肉のパティを挟む「サイバーガー」（写真はセット） 　「母の温かい手」に由来する名前の同ブランドは、2004年に設立。韓国国内では、バーガーチェーンで店舗数1位となる1421店舗（2024年2月現在）を構える。2021年に本格的な海外展開を始め、タイやモンゴル、アメリカなどにも展開（フランチャイズ）している。 　日本を「美食国家」と位置付け、同ブランドが「グローバルブランドへと跳躍する本格的な海外進出の重要な第一歩」と考え本格上陸。先駆けて昨年10月に日本初のポップアップストアを渋谷駅前スクランブル交差点近くに出店した際には、3週間で約3万3000人が来店。アンケートで「また来たい」、競合であるマクドナルドやKFC、モスバーガーなどと「競争力を持っている」と答えた人がそれぞれ90％以上いたことから、キム・ドンジョン社長は「日本でもやっていける」と判断した。 　出店場所は新宿や池袋、新大久保なども探したと言うが、年齢や性別所得水準など問わず、外国人を含めて「多様な人」が来街する場所で「大衆的な評価を受けたかった」と渋谷を選んだ。「外国文化が発達している」日本の中でも、「ポジティブな変化に柔軟に対応できる」渋谷で「認められれば強いものだろう（と考えられる）」とも。 　同じバーガーチェーンの「マクドナルド」跡となるが、「偶然だった」と言う。キム社長は、昨年のポップアップショップ期間最終日に同所が空くという連絡を受け、物件に足を運び「39年間マクドナルドが営業していたということは、この場所はファストフードが食べやすい場所という認知度があるということ」と判断し出店を決めた。「ラッキーだったし、結果的にドラマ的なストーリーになった」と笑顔を見せる。地下1階～地上2階の3フロアで、店舗面積は120坪。1階はキッチン、客席は地下1階と地上2階に計216席を用意する。ブランドカラーのオレンジを基調に、「アンニョンSHIBUYA」などのネオンサインを掲出。その場で撮った写真がすぐに出てくる「レシート写真機」を常設し、購入客が体験（1回）できるようにする。 　パティの衣付けから揚げまでの工程を店内のキッチンで手作業で行うなど、スピード重視ではなく注文を受けてから調理するシステムを導入しているのが特徴で、キム社長は「店舗調理だからこその味、ジューシーさや衣のカリカリさが一番の強み」とし、それを「合理的な価格」で提供することで「『ベストプライス・ベストエクスペリエンス』をつくれている」と自負する。日本での提供価格は最終調整中だが、市場調査の結果バーガーに使う金額が500円～1,000円台で「韓国と同じ単価」だったことから、「韓国と同じような価格（現在のレートで500円～600円台）で提供することで、同じような経験を提供できると考えている」（キム社長）。 　メニューは、2005年に発売し累計5億個以上（2023年末）売り上げているという、鶏もも肉をパティとして使う看板バーガーの「サイバーガー」（520円、ケイジャンフライドポテトとドリンクのセットで850円）をはじめ、鶏もも肉のパティを2枚挟む「贅沢（ぜいたく）バーガー」、鶏もも肉のパティのサイズが2倍の「メガサイバーガー」、ハムとエッグフライを挟む「ハムエッグサイバーガー」などのバーガー類に加え、ケイジャンスパイスを使う「ケイジャンポテト」、ヤンニョムやしょうゆニンニクなどの味を用意する骨なしチキン、ドリンク類などをラインアップ。渋谷限定で、照り焼きソースを研究し日本人好みに仕上げた「本格プルコギバーガー」を用意する。 　キム社長は、「韓国では、誰もが歩いて行ける範囲に店舗がある状態で、10～50代など幅広い層をキャッチできているので、顧客ターゲットはない。味と購入した経験にフォーカスを当てている。日本でも『コスパ』と言うが、価格に比べて満足度の高い物を提供できれば誰にでも受け入れられるのでは。最高な食事をリーズナブルに提供することでお客さんが必要な時に力になる、それが私たちが目指している顧客体験」と意欲を見せる。 　営業時間は10時～22時。オープンに向けて予約を受け付けているが、すでに5000席分以上予約が入っているという。渋谷店は直営となるが、今後はフランチャイズで店舗展開していきたい考え。