宇部興産海運が倉庫業スタートへ 宇部港活性化の起爆剤に【宇部】
宇部興産海運(椎木耕造社長)は、今年度から寄託を受けた物品を倉庫で保管する倉庫業に取り組む。事業スタートに向け、宇部港の近くに一般貨物をはじめ、化学品などの危険物、指定可燃物を保管できる「沖宇部倉庫」を建設した。自社倉庫の保有は同社として初めて。出荷に関しては市外に流れていた多くの荷物を同港内で取り扱うことが可能となるなど、同港活性化の起爆剤となる物流拠点として期待がかかる。 敷地面積は約1万6700平方㍍。施設は3区画に分かれた一般倉庫棟(床面積3000平方㍍)、危険物屋内貯蔵所2棟(同各500平方㍍)、危険物屋外貯蔵所(同480平方㍍)、貨物コンテナが最大280基置けるコンテナヤード(同3300平方㍍)からなる。各施設ともに関税徴収が保留された輸入貨物を保管できる保税蔵置き場で、コンテナ運搬用大型重機のリーチスタッカーを常駐させているのも特徴。 倉庫建設は同港周辺企業のニーズに応えたもの。同港には危険物の貯蔵条件を満たした保管場所がほとんどなく、入出荷する危険物貨物の多くを下関市と下松市、福岡県北九州市など県内外の港の貯蔵所に輸送する必要があった。同港周辺倉庫の一般貨物の保管能力も不足していた。
沖宇部倉庫では顧客の要望に沿った保管が可能で、検品、保管、荷造りなどもワンストップでできる。芝中埠頭(ふとう)まで10分の立地にあり、周辺企業の物流コスト削減にも貢献できる。同社では、同港で取り扱うコンテナ量を現状の2倍まで引き上げたいという。 2日に同所で行われた完工式には、関係者85人が出席。神事やテープカットが行われ、完成を祝った。椎木社長は「倉庫事業は未知の取り組みでもあるが、沖宇部倉庫の開業を通じて、地元宇部港のさらなる利用促進と活性化に貢献していきたい」とあいさつ。来賓の篠﨑圭二市長は「宇部地域の経済活性化、港湾の脱炭素化につながる倉庫の完成をうれしく思う」と祝辞を述べた。