北陸線名列車、伝説の彼方へ 「雷鳥」「白鳥」「加越」・・・
北陸新幹線は16日、金沢―敦賀間が開業する。これと同時に、特急「サンダーバード」と「しらさぎ」は敦賀止まりとなり、北陸線を走った特急が石川県内から消える。北陸線は国鉄時代から「特急銀座」と呼ばれるほど、特急列車の運行本数・種類ともに豊富で、旅行やビジネス、帰省など多彩な場面で活躍した。北陸線を駆け抜けてきた名特急たちの足跡を振り返る。 【写真】新大阪駅を発車する「ゆぅトピア和倉」=平成3年 ●白鳥、昼行として最長誇る 北陸線の特急の歴史は昭和36年10月に登場した「白鳥」に始まる。大阪と青森を結び、運行距離は千キロ超。日中走る「昼行特急」としては最長を誇り、乗り通すと15時間以上かかった。 当初、大阪から青森に行く「日本海白鳥」と、直江津で切り離して上野に向かう「信越白鳥」が連結して走り、いずれにも食堂車があった。 ●雷鳥、日本の代表格に成長 昭和39年12月に運転を始めた「雷鳥」は、スピードアップして「スーパー雷鳥」、新型車両となって「サンダーバード」と進化しながら、定期列車だけで一日25往復の「日本を代表する特急」に成長した。今は大阪と金沢・和倉温泉を結ぶ。新幹線金沢開業前は富山や魚津まで走り、スーパー雷鳥時代は神戸発着の便もあった。 昭和60年代には畳敷きの「和風車だんらん」、七尾線直通の観光特急「ゆぅトピア和倉」を連結して走ることもあった。ほかにも平成2年に大阪で開催された「花と緑の博覧会」見物向けの「エキスポ雷鳥」、単身赴任者向けの「ホームズ雷鳥」「ビジネスサンダーバード」、富山地方鉄道に乗り入れた「スーパー雷鳥宇奈月」など多彩で、「特急の王者」として君臨した。 雷鳥と同じ昭和39年に名古屋-富山間に登場した「しらさぎ」は運転区間がほぼ変わらず、全国でも「最古参の特急」だ。金沢-新潟間を結んだ「北越」も昭和44年の登場当初は大阪-新潟間の列車で、北陸線を彩った。 ●加越、東海道新幹線と連絡 昭和50年には米原発着の「加越」が運転を始めた。「雷鳥」が米原経由から湖西線経由に変更されたため、東海道新幹線との連絡が手薄にならないよう設定された。昭和63年には「加越」の速達版「きらめき」が誕生。同年、現在の北陸新幹線と同名の在来線特急「かがやき」も登場し、金沢と長岡を結んで上越新幹線に接続した。 ●寝台列車、夜空に放つ輝き ブルートレイン(寝台特急)も北陸線に輝いた。昭和43年登場の大阪-青森間「日本海」、昭和47年登場の大阪-新潟間「つるぎ」は、高速道路や航空路が十分ではなかった時代、日本海側の貴重な足として親しまれた。昭和63年に青函トンネルが開通すると「日本海」は函館まで直通した。 大阪から北陸線を走り、札幌まで足を伸ばす豪華寝台列車として平成元年、満を持して登場したのが「トワイライトエクスプレス」だ。車窓を独占できる個室、一流レストラン並みの食堂車など「究極の汽車旅」を楽しめる鉄道ファンのあこがれだった。 16日からサンダーバードは敦賀―大阪間、しらさぎは敦賀―名古屋・米原間となり、愛称は残るものの、運行距離は大幅に短縮され「新幹線リレー列車」へと性格を変える。「鉄道黄金時代」を今に伝える北陸の名特急たちは、まもなく伝説の彼方へと走り去る。